トランプ氏「中産階級への減税のためには富裕層への増税もある」


議会との折衝の結果、富裕層は増税に



インディアナ州の予備選が終わり、有力対抗候補だったテッド・クルーズ氏が選挙戦から撤退し、続いてジョン・ケーシック氏も撤退したため、アメリカ大統領選の共和党指名が確実となったドナルド・トランプ氏は、国民の一律減税を実施しようとした場合、議会での反対を受ける事態が予想され、結果的には中産階級への減税を優先させるためには高所得者層には増税を課すことになるだろうという考えを明かしました。






8日にABCのインタビューに答えたトランプ氏は「企業への減税、中産階級の人への減税、すべての人への減税、というところからまずは(議会との)交渉を始める。私の計画では富裕層へも減税するつもりだが、折衝の段階で増税という結果になるだろう」と減税の対象となる人の優先順位を示しています。



自身が不動産王と呼ばれるほどの資産家であるトランプ氏に富裕層へ課税することについての考えを聞かれると「私たちはもっと払ってもいいんじゃないかと思う…。今のままでいいとは思わない。まあ、私は今より払うことになっても構わない」と答えています。




トランプ氏は昨年の9月に課税について、企業と家庭を中心に据えた大規模な減税をするとして、企業への税金を35%から25%へ、所得税の最高税率を39.6%から15%に引き下げる政策を発表していますが、今回の発言で富裕層への増税を明言し、中産階級によった税制改革を行う立場であると名言したことになります。




最低賃金も引き上げる考え





また、8日にトランプ氏は最低賃金についても言及しています。一部の州で15ドルに引き上げられている最低賃金ですが、アメリカ全体としては現在7ドル25セント。国際競争力が低下するといった理由からこれまで最低賃金の引き上げについては反対の立場を取ってきたトランプ氏ですが、まだ具体的な数字は考えていないものの、「もっともらっていいと思う」と賛成する意見を表明しています。



ちなみに民主党候補のクリントン氏はアメリカ連邦政府の定める最低賃金を7ドル25セントから12ドルに引き上げ、それぞれの州はそれよりも高い金額にする方針で、サンダース氏は政府の最低賃金を15ドルにするとしています。





8日にトランプ氏は自身のホームページでこの税制計画でアメリカ政府の財政赤字が拡大することはないと記していますが、減税を実行に移す具体的な方法についてはまだ説明されていません。





トランプ氏と距離を置く共和党幹部をマケイン議員が非難






多くの国民に響くような税制計画を発表している一方で、いまだ共和党内の議員とは深い溝があるのも事実です。5月5日にはミット・ロムニー氏が7月の党大会をボイコットする意思を表明し、6日にはポール・ライアン下院議長がイスラム教徒の入国禁止を政策に掲げているトランプ氏を「まだ支持できない」とコメントしています。



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それに対し共和党の長老格ともいえるジョン・マケイン上院議員はトランプ氏の戦争捕虜への姿勢や選挙戦での他候補への誹謗中傷を批判しつつも、「私たちの共和党の候補者を選んだ人たちの声に耳を傾けるべきだ。それを無視してしまうのは愚かな行為だと思う」と述べ、共和党員が選出した人物を支援しない幹部の議員たちを諌め、対立する両者を党の一致に向かうよう促しています。






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