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新大統領となるトランプ氏への各国首脳のコメント
11月8日にアメリカ大統領選挙の結果が出て共和党の候補ドナルド・トランプ氏が民主党のヒラリー・クリントン氏を破ってアメリカ史上初となる公職経験のない大統領が誕生することとなりました。
トランプ氏は選挙キャンペーンで過激な発言を繰り返していたため、アメリカ国内に限らず世界中の国々がその動向に注目していました。
トランプ大統領誕生に対して各国政府はどのように反応したのでしょうか?
イギリス
テレーザ・メイ首相の祝辞
「厳しい選挙戦を勝ち抜き、次期大統領に選出されたドナルド・トランプ氏にお祝いの言葉を贈ります」
テレーザ・メイ首相⭐️ #News • Theresa May approves £20m funding boost for women's refuges: Fund to be officially announced along with… https://t.co/ANyfodPlkd pic.twitter.com/3G4d3UAS1B— Kazi UK™ 🇬🇧 (@Kazi_UK) 2016年11月2日
「イギリスとアメリカは自由と民主主義と進取性にもとづいた永続的で特別な関係。今も、そしてこれからも貿易や安全保障において緊密な協力を維持していきたい。ドナルド・トランプ次期大統領と今後数年にわたって両国の安全や繁栄を確保できるよう連携を深めて取り組んでいけることを嬉しく思います」
メイ首相はかつてトランプ氏のイスラム教徒のアメリカ入国拒否の政策に対し「あつれきを生むもので役に立つものではなく間違っている」批判しています。
また、外務相のボリス・ジョンソン氏も「私がニューヨークのある場所に行かないのはドナルド・トランプと会う危険を避けるため」と発言し、受け入れられないという姿勢を表明していましたが「彼の運営する政権と世界の安定や繁栄のために仕事ができる日を楽しみにしている」と祝辞を贈っています。
— The Spectator (@spectator) 2016年11月2日ボリス・ジョンソン外務相
議員経験がなく立候補し当選したトランプ氏とはどうしてもイギリス政府との距離は隠せないようです。そんな中6月の国民投票でイギリスのEU離脱(ブレグジット)を導いたイギリス独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ氏がトランプ氏とイギリス政府の架け橋になってもいいと申し出ています。
ファラージ氏とトランプ氏We now have a US President who likes our country and understands our post-Brexit values ~ @Nigel_Farage #NotMyPresident pic.twitter.com/EviaUhjQWL— Tea Party News (@tpartynews) 2016年11月9日
ファラージ氏はトランプ氏の支持を以前から表明していて、8月24日にはミシシッピ州ジャクソンで開かれたトランプ氏の集会に登壇し演説を行っています。
ファラージ氏はEU離脱のキャンペーンの中で移民流入の問題を焦点にしていて、トランプ氏との共通項があります。
新大統領についてファラージ氏は政治家としての働きとしてはちょっと未熟なところがあるだろうが、彼はイギリスに好意を持っていて特別な関係を望んでいるとコメントしてます。
ドイツ
アンゲラ・メルケル首相の祝辞
アンゲラ・メルケル首相JUST IN: German Chancellor Angela Merkel Issues CHILLING Warning To Donald Trump https://t.co/Qr94miSYi3 pic.twitter.com/kb5cQeCuT2— Bipartisan Report (@Bipartisanism) 2016年11月10日
「ドイツの対外関係において、EU圏外ではアメリカほど緊密な関係を持っている国はありません。巨大な経済力、軍事力、文化的影響力を備えた大国を統治する人は、全世界が実感できるように責任を担っていかねばなりません
アメリカ国民はこれからの4年間、この責任を背負っていくべき人がドナルド・トランプ氏であると決めたということです。ドイツとアメリカは共通の価値観で結びついています。民主主義、自由、法の尊重、出自や肌の色や宗教や性別や性的指向や政治的信念に関わらず人の尊厳が守られること。こうした価値観にもとづいてともにやっていこうと次期アメリカ大統領であるドナルド・トランプ氏に声をかけたいと思います。
今この時代に私たちが直面している大きな問題に対処するためにアメリカとの協調関係はドイツにとって外交政策の根本の柱となります。経済や社会福祉、来たるべき気候変動への政策、テロや飢饉や疾病との戦い、平和と自由の確固とした保持。それらをドイツ、ヨーロッパ、そして世界中に広げていかなければなりません」
選挙キャンペーン中にトランプ氏はメルケル首相の移民政策に対して「ヨーロッパの終焉を招くぞ」と発言しています。両者は対極的な移民政策を掲げていますが、メルケル首相の祝辞には世界をリードする国であるアメリカのリーダーとしてふさわしい言動を取っていくよう責任を求めていることが伝わります。
ドイツ国内でも極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進していることから、メルケル首相は移民政策についてさらに難しい局面に立たされることになるかもしれません。
フランス
フランソワ・オランド大統領
#Chomage Tout en préservant notre modèle social @fhollande à 2 doigts de gagner le plus difficile des combats selon https://t.co/UTsUOGQQmk pic.twitter.com/6W3vJjIYge— Delphine Pineda (@DelphinePineda) 2016年11月11日
かつてトランプ氏の「行き過ぎた言動に吐き気を催す」と発言していたフランスのオランド大統領。公の立場で対抗馬であるクリントン氏の支持を表明していました。
トランプ氏の当選に対しても「不確実な時代の始まり」であるとして「両国の首脳のあいだでは分明に目を向けなければならない」とコメントしています。
当選のお祝いとして、「トランプ氏が選挙キャンペーン中に示した立場は私たちが今アメリカと共有している価値観や関心と合致している」とし、テロとの戦いや中東情勢を中心とした安全保障、そして経済問題について協調していく姿勢を表しています。
フランスは来年に大統領選を控えていて、サルコジ前大統領が立候補を表明しています。ドイツと同様にサルコジ氏や国民戦線のルペン党首など極右勢力がどこまで勢力を伸ばすのか注目されています。
イタリア・バチカン
マッテオ・レンツィ首相
Italy's referendum 'is a choice between nostalgia and the future', says Renzi: https://t.co/NZ6yBwb4wt pic.twitter.com/rXhG5vUNjB— The Local Italy (@TheLocalItaly) 2016年11月7日
レンツィ首相もまたクリントン候補の支持を表明していましたが、トランプ氏の当選に対してイタリアの代表としてお祝いを述べるとコメントし、イタリアとアメリカ両国の関係を強固なものにしたいとしています。
また、トランプ大統領誕生について「我々が新たな段階に入っているという政治的事実の1つである」とし、「彼が勝つなんて誰が想像してましたか?でもそうなったなら、それを尊重しなければなりません。新しいアメリカ大統領として協力し、EUとイタリアの関係を築いていきます」と率直な意見を述べています。
フランシスコ教皇はバチカンでの会議に呼ぶなど、民主党候補の1人だったバーニー・サンダース氏に好意的で、一方、今年の2月にトランプ氏を「キリスト教徒ではない」とその言動を非難していました。
Pope Francis: "Dear brothers and sisters—all walls fall. All of them. Do not be fooled." https://t.co/Lx9WNJJGPU pic.twitter.com/QcPurW0IaZ— Malia Griggs (@maliagriggs) 2016年11月6日
その後もトランプ氏との応酬はいくらかありましたが、内政干渉にも発展する恐れがあるため大統領選挙へのコメントを控えています。
トランプ氏の当選に対してフランシスコ教皇は直接発言を発表していませんが、ラジオを通じて「彼の政府はきっとよい結果をもたらすだろう」と伝えています。また、「教皇がアメリカの、そして世界の安全と平和のためにトランプ氏を照らし支える」つもりであるとカトリック信者にも理解を求めています。
ロシア
ウラディミール・プーチン大統領の祝辞
In a telegram, Russian President Vladimir Putin congratulates @realDonaldTrump https://t.co/ZJuAe7lbnu | Getty pic.twitter.com/ZivsyO4H0a— POLITICO (@politico) 2016年11月9日
ウラディミール・プーチン大統領
「まだ候補のときから選挙キャンペーンで露米の関係改善を掲げていると聞いています。
関係性が低調にある今の状態を考えるとそれが容易なことではないという認識を持っています。何度も行ってきましたように、露米関係がこれほど悪化してしまっていますが、それはロシア側に落ち度はありません。それでもアメリカとの関係修復に本腰を入れたいという気持ちと準備をしています。
それが難しいことだと思っていると繰り返し申し上げますが、われわれは自分たちの役割を果たす準備はしていますし、露米関係を安定した状態に戻し持続的に発展させていく道筋に戻す努力を惜しみません。
そうすることが露米両国民にとって利益になるのであろうし、ロシアとアメリカという世界の安全保障に対して特別な責任を背負っている国によって世界情勢に好影響を与えることになるでしょう」
トランプ氏は選挙キャンペーン中にオバマ大統領よりも優れた指導者としてロシアのプーチン大統領の名前を挙げて称賛していました。オバマ政権とはシリア内戦において関係がこじれたロシアはプーチン大統領に理解を示しているトランプ新大統領との外交に期待を寄せていることがわかります。
メキシコ
大量に不法入国して犯罪を犯しているメキシコからの移民を防ぐため、アメリカとの国境に壁を建設するという発言はトランプ氏を注目させたものの1つでした。しかもその費用をメキシコ側に負担させるという内容。
大統領選挙投票を2ヶ月前にしてエンリケ・ペニャニエト大統領はトランプ氏と会談しています。打って変わってトランプ氏は「メキシコ系アメリカ人に強い愛情を抱いている」と述べ、国境の壁についても費用の負担については避けたものの意見の交換をしています。
8月31日のエンリケ・ペニャニエト大統領とトランプ氏Peña Nieto y Trump, dos políticos, dos preocupaciones: el pelo y el ... - New York Times en Español https://t.co/cW7oDOrYXA pic.twitter.com/YSUzd7bJ2V— Ciudad de México (@_CiudadDeMexico) 2016年11月8日
トランプ氏の当選について自身のツイッターで次のようにつぶやいています。
「メキシコとアメリカは友人でありパートナーであり同盟国です。我々は北アメリカの競争力と発展のために協力を続けていくべきであります」
中国
最近では南シナ海の問題や鉄鋼製品の関税、中国国内のアメリカ企業の扱いなどで経済面で大小さまざまな摩擦が起きている中国とアメリカ。ロシアとアメリカの距離が縮まることによって外交面ではスムーズに行く場面が多くなるかもしれませんが、強力な経済政策を打ち出すと見られるトランプ氏とは経済利益の面では対立が強まることになる可能性があります。
習近平国家主席Xi Jinping propone a Trump "un nuevo comienzo" en las relaciones con China https://t.co/3zMf65MgGg #TrumpPresident #trumpwins pic.twitter.com/aivysRG1Bf— Europa Press (@europapress) 2016年11月9日
習近平国家主席の祝辞
「中米関係に私は非常に重きを置いています。あなたと非葛藤、非対立、相互尊重、相互利得の協調の原則を支えていけるようともに働けることを楽しみにしています。
両国が葛藤と対立を避け、協調と相互利得を勝ち取れるような関係を実現したい」
フィリピン
フィリピンのドナルド・トランプとも呼ばれているロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、超法規的な麻薬の取り締まりで成果を挙げているものの、アメリカや国連から批判を受け対立を深めていました。
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領President Rodrigo Duterte says he hopes US troops will leave the Philippines before end of his term in 2022, according to @WSJ pic.twitter.com/jRtynB9MAP— CCTVNEWS (@cctvnews) 2016年11月12日
オバマ大統領に暴言を吐いたりフィリピンの国連脱退をほのめかしたりしていて、アメリカ中心の外交からロシアや中国寄りの外交に舵を取るという動きも見せています。
ドゥテルテ大統領の祝辞
「次期政権とともにフィリピンとアメリカの関係を高める日を楽しみにしています。相互尊重、相互利得に重きをなし、民主主義の理想と法の支配への関わりを共有できたらと思っています」
ドゥテルテ大統領は自身の任期が終了する2022年までにフィリピンに駐留しているアメリカ軍の撤退を希望しています。
また、トランプ氏との共通点を聞かれたドゥテルテ大統領は、「むこうが世界でもっとも強大な国の大統領で私はこの惑星の分子みたいなもの」としたうえで、「自らの務めに対する情熱」は共通していると応えています。
<追記>
1/21
1月20日にアメリカの第45代大統領の座に就いたドナルド・トランプ氏は、就任演説で「米国第一主義」を掲げ、外交や経済政策でこれまでにアメリカがこうむってきた損失を取り返すことを約束しています。
そして、日本も参加を表明している環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を表明。また、北米自由貿易協定(NAFTA)についても交渉内容を見直し、場合によっては離脱を辞さないという態度を明らかにしました。
また、大統領就任直後にオバマケア撤廃に向けた大統領令に署名しています。
関連記事:女性の権利を訴える行進が世界各地で。歴史的な規模の反トランプデモ
参照
http://www.bbc.com/news/uk-politics-37921086
http://www.bbc.com/news/uk-politics-37927270
http://jp.reuters.com/article/usa-election-idJPKCN1100AH
https://www.theguardian.com/us-news/2016/nov/09/world-leaders-react-to-donald-trumps-us-election-victory
http://www.huffingtonpost.jp/2016/08/31/trump-wimps_n_11810220.html
http://www.asahi.com/articles/ASJCC3V4PJCCUHBI011.html
http://jp.reuters.com/article/trump-becomes-president-idJPKBN1542GA
指導者交代に関する記事