アメリカの元NBA選手でシャーロット・ホーネッツのオーナーであるマイケル・ジョーダン氏が7月26日、国内で相次ぐ黒人市民と白人警官の射撃事件により人種間の緊張が高まっている問題に対して口を開き、さらに関係の改善のために2つの組織に寄付を行うことを発表しました。
ジョーダン氏はこれまで著名人という立場を利用して社会問題に意見をすることを控えていましたが、止まらない負の連鎖に歯止めをかけられたらと公の場で自らの立場を明らかにすることにしたようです。
アメリカ国内の人種間の対立にコメント
「もう、黙っていることはできない」
ジョーダン氏はESPNが運営するスポーツ、人種、文化などを取り扱うサイト「The Undefeated」に26日に記事を投稿し、7月に入って起こった白人警官による黒人市民の射殺、黒人市民による白人警官の射殺、そして人種間での対立についてコメントを寄せました。
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ジョーダン氏が寄付の意向を発表したのは国際警察署長協会(IACP)が設立した地域警察連携機関(ICPR)と全米黒人地位向上協会法的弁護基金(NAACP Legal Defence Fund)で、支援する両方の組織にそれぞれ100万ドル(約1億円)を贈るつもりだということです。
また、自らの父を亡くした経験から今のアメリカ社会への思いを語っています。
「アメリカ人として誇りを持つものとして、自分の父を意味のない暴力によって亡くした父親として、そして黒人として、アフリカン系アメリカ人が警察の手によって命を奪われたことに対し苦しみを感じ、警官を標的とした卑怯で憎むべき行為に対して怒りを感じています。
愛する人を亡くした家族の悲しみが私の胸にもあふれています。その辛さが痛いほどわかります」
マイケル・ジョーダン氏は1993年にハイウェイの路側帯に車を止めていたところ、2人の強盗に襲われて射殺されています。
過去に「商売への関心が強すぎる」との批判も
社会問題について公けの場で自分の立場を表明することがなかったジョーダン氏は、現在は活動家として運動する元NBA選手からカリーム・アブドゥル・ジャバー氏「商売っ気で良心がかすんでいる」と批判されることもありましたが、その姿勢を変えつつあります。
「私は希望を持って声をあげたいと思います。私たちはアメリカ人として一つになれるのだと、そして平和的な対話と教育によって建設的な変化が実現できるのだと」(The Unbeatenへの投稿)
ジョーダン氏が運営するシャーロット・ホーネッツは一時2017年のオールスターゲームの開催が予定されていましたが、本拠地としているノースカロライナ州でトランスジェンダーの人も出征証明書に記されている性別と同じトイレを使わなければならないという法律「ハウスビル2」(HB2)にNBAがLGBTに対する差別であり、同州でオールスターを開催することはできないと発表しています。
4月に「シャーロット・ホーネッツとホーネッツ・スポーツ・アンド・エンターテイメントはいかなる差別にも反対し、これからも包括的な環境を求めていく」という声明を出しています。
⇒人種問題だけではなく環境問題やパレスチナ問題とも連携するBlack Lives Matter
参照
http://edition.cnn.com/2016/07/25/sport/michael-jordan-comments-race-police/
http://www.bbc.com/news/world-us-canada-36889860
http://jp.reuters.com/article/nba-allstar-charlotte-lgbt-idJPKCN1020B0
https://www.theguardian.com/sport/2016/jul/25/michael-jordan-i-can-no-longer-stay-silent-on-violence-in-america
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