トルコ政府は7月20日に、大学の研究者などに対して海外渡航を一時的に禁止する措置を取るという発表しました。
トルコは15日のクーデター未遂事件を受け、すでに軍や警察、司法関係者を9000人以上拘束していますが、粛清の手は教育機関にもおよび、教育関係の公務員1万5200人の職務を停止しています。
トルコ政府がクーデターとの関連をにらむギュレン師の影響力
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また、私立と公立の学長1577人に対して辞任を要求しています。
FETOとトルコ警察、司法、教育のつながり
トルコ政府が今回のクーデターの計画を立てたのはフェトフッラー派テロ組織(FETO)であるとし、その中心人物がアメリカに正式に身柄引き渡しを求めている政敵ギュレン師です。
現在はアメリカ・ペンシルバニア州に住んでいるギュレン師はクーデターの関与を否定していて、ケリー国務長官も身柄引き渡しをするには「疑惑ではなく証拠」がなければ合意できないとしてトルコ側の要求を拒んでいます。
ギュレン師はアメリカ国内にありながらもトルコの司法や警察、教育機関への影響力はまだ強く、学校への資金提供も行っています。クーデターを実行した軍部だけでなく、警察や司法、教育関係にまでエルドアン大統領のメスが入ったのもそのためでした。
トルコ国内の大学関係者の中でFETOのネットワークにいる人物がクーデターを実行した軍の人間とコンタクトをとって影響を与えたのではないかと考え、海外に逃亡されてしまうのを防ぐために取った措置と言えるでしょう。
トルコ政府関係者はアル・ジャジーラの取材に対し、「これは一時的な措置で、大学にいるクーデターを計画した共犯人物が国外に逃亡してしまう恐れがあるからだ。トルコでは軍事政権において大学は核となる存在になってきたし、今回も軍部とつながりがあったと思われる人たちがいる」と匿名で応えています。
ブルームバーグの推計では大学の教授の免許をはく奪された人は6万人にも達するとのことです。
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参照
https://www.rt.com/news/352218-turkey-academics-ban-travel/
http://www.afpbb.com/articles/-/3094550
http://www.aljazeera.com/news/2016/07/turkey-issues-travel-ban-academics-failed-coup-160720100811188.html
http://www.bbc.com/news/world-europe-36843180
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