https://youtu.be/6-qE-vevEXA |
キール大統領派とマシャール第1副大統領派の戦闘が続く
7月9日は南スーダンにとって独立5周年となる建国記念日。しかし、首都ジュバの町には装甲車や兵士を乗せた車両が何台も走り、銃声があちこちで鳴り響き、上空には戦闘ヘリが飛び交っていました。
ロイター通信によると先週から続いている戦闘で少なくても300人以上が死亡していて、国連関係で派遣されていた中国人が1人死亡、2人が重傷を負っているということです。
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南スーダンにおける内戦は2013年12月に始まり、サルバ・キール大統領を支持する政府軍とリヤク・マシャール氏を支持する反政府軍のあいだで戦闘が続いていましたが、キール大統領がマシャール氏を第1副大統領に迎い入れたことで和平に向けたムードが漂いました。
"We are unified now... As the government of national unity, we are functioning smoothly" - Watch @TalktoAlJazeera https://t.co/iRNM4sTiS4— Al Jazeera English (@AJEnglish) 2016年7月9日
右がサルバ・キール大統領、左がリヤク・マシャール第1副大統領
しかし、再び両者が非難しあう事態となり、7月7日に両派による戦闘が勃発し、住民数千人が避難する事態となりました。自宅に避難した人たちの中にはいずれかの軍関係者が家に訪れてきて、身分証の確認をして対抗勢力の人物が紛れ込んでいないかを調べに来ているとのことです。
8日にはマシャール氏とキール大統領による停戦の呼びかけをする記者会見を開きましたが、会見中に銃撃戦が発生し、参加者がテーブルやイスの下に身を隠すなどしていました。
キール大統領とマシャール第1副大統領そろっての記者会見中にも銃撃戦が発生
南スーダンの独立を支援し、いまも影響力を持っているアメリカ政府関係者が9日にキール大統領とマシャール第1副大統領との会談を行っていて、同国は戦闘はすぐ止むだろうという声明を出していましたが、10日になってもジュバでの戦闘は拡大する一方でした。
これを受けて10日午後、ニューヨークに本部がある国際連合の安全保障理事会は南スーダン国内の危機に対する協議が開かれています。国連英国次席代表であるピーター・ウィルソン氏は「我々としては武器を置くよう呼びかける。そうすることが南スーダンにとって大事なのだ」と語っています。
南スーダンでは原油が国の経済を支えていますが、近年の原油価格の下落で1100万人の暮らしは厳しいものになっています。それに加えての紛争の激化で、人口の半分が飢饉に苦しんでいる状態です。
South Sudan: An ever-deepening cycle of violence https://t.co/qByC3FZAUN pic.twitter.com/d5fvv0WzzV— Al Jazeera News (@AJENews) 2016年7月10日
国連によると169万人が国内で避難生活を送っていて、71万2000人が国外へと難を逃れているということです。4月に暫定政権が樹立し、日本からもPKOが派遣され各国が平和維持のパトロールを行っていますが、国連はこの数日の戦闘の激化から首都での巡回を控えるようにしています。
<追記>
マシャール前第1副大統領が抗戦を宣言。政府軍が化学兵器使用か?
9月25日にマシャール氏は「キール大統領の独裁政権に対して武力で対抗する」と宣言しました。7月に再燃した南スーダンの紛争はすでに内戦状態にまで戻ってしまっていて、10月14日には政府報道官がそれまでの1週間で少なくても60人の死者が出ていることを発表しました。
Fighting around South Sudan town of Malakal kills 56: government https://t.co/xKxwKLOmki pic.twitter.com/j6GsbwxCKH— Reuters Top News (@Reuters) 2016年10月16日
また、9月9日にはアムネスティ・インターナショナルによると南スーダン政府軍が市民に対して化学兵器を使用し、乳児や幼児を多く含む250人近くが死亡したということです。しかし、政府はこれを否定。化学兵器を使った事実はないとしています。
11月に入っても内戦状態の南スーダンの状況は悪化する一方で、アダマ・ディエン特別顧問(ジェノサイド防止担当)は同国の民族紛争がこのままでは大量虐殺につながりかねないと懸念を表明しています。
#AdamaDieng on #SouthSudan: "There are cases of barbarous use of machetes which reminds of Rwanda. . . Genocide can be prevented." pic.twitter.com/ydTdvQd0Ej— Prevent Genocide Org (@PrevGenocide) 2016年11月11日
「扇動や中傷によって、特定の集団に属する人を標的とした殺人やレイプ、いずれかの政治的立場に帰属していると認められた個人や共同体への攻撃が引き起こされている」
とディエン特別顧問はコメントしてます。
そんな中、PKOを南スーダンに派遣していたケニアは11月9日に同国からの撤退を開始しました。これは7月9日に戦闘が再燃したときにPKOが市民を保護できなかった責任でケニアの司令官を解任したことに反発しての決定です。
混乱した状況下で難しい任務だったのにもかかわらず一個人に責任を求めるのはおかしいというのがケニア政府の主張です。
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<追記>
2/12
2月10日に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は南スーダンから国外に逃れた難民が150万人を超えたとし、アフリカでは最大の規模、世界でもシリア、アフガニスタンに次いで3番目に多い数になったことを発表しました。
難民の60%以上が子供で、健康状態も栄養失調になっているケースが多いということです。
また、同日に国連安全保障理事会が市民への攻撃が行われている「戦争犯罪」が起きている可能性があるとして、南スーダンを強く非難。外国からの武器の流入が続いていると指摘しています。
参照
http://www.nytimes.com/2016/07/11/world/africa/south-sudan-fighting.html?_r=0
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016071100207&g=int
http://www.afpbb.com/articles/-/3093512
https://www.theguardian.com/world/2016/jul/10/south-sudan-capital-juba-violence-salva-kiir
http://www.sankei.com/world/news/160926/wor1609260009-n1.html
https://www.theguardian.com/global-development/2016/sep/29/sudan-children-babies-alleged-chemical-weapon-attacks-amnesty
http://guardian.ng/news/un-fears-outright-ethnic-war-in-south-sudan/
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