国際社会での存在感を維持しようと努めるイギリス・キャメロン首相
イギリスのデービッド・キャメロン首相は11日に、ファンボロー国際航空ショーの開会に際し、ボーイング社と2000人の雇用創出と航空機の注文などを含める契約をしたことを発表しました。
P8海上哨戒機を9機購入し、さらにはイギリス国内での研究事業をこれまで以上に拡大することになります。
Red Arrows fly over the first hour of business for @FIAFarnborough #FIA16 pic.twitter.com/PhMMZQjErc— Alex Macheras (@AlexInAir) 2016年7月11日
ファンボロー国際航空ショーの様子
EU離脱に揺れるイギリスですが、キャメロン首相は今後も各国との取引を活発に行っていくと開かれた国としてあり続ける姿勢を強調しました。先ごろワルシャワで開かれたNATOの首脳会議でGDPの2%を防衛費に当てることにも前向きな姿勢を示したキャメロン首相は、この9機の哨戒機をヨーロッパなどの安全保障に活躍させ、イギリスが国際社会で孤立することがないよう意図したと言えます。
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イギリスでの事業拡大を図るボーイング社
イギリス政府はボーイング社との契約以外にも、航空宇宙開発事業に3億6500万ポンド(約484億6000万円)以上をかけるという発表を行っています。航空宇宙部門においてイギリスは世界をリードする位置を維持し、ファンボローはその中心的な場所になるとしています。
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ボーイング社はスコットランドにあるRAFロジーマスのオペレーションサポートセンターとトレーニングセンターへの1億ポンド(約132億円)の投資なども決定しています。
今後20年で3万9260機の生産見込み
ボーイング社が11日に発表した概算によると、今後20年間で世界は3万9260機の航空機の需要があるとしていて、金額にして5兆9000億ドル(約600兆円)に上るとしています。2015年に出た数字よりも4.1%多くなっています。
また、旅客機を使用する人口の数も20年後には4.8%増加する見通しで、航空機業界としてはこれからも発展が期待できるとボーイング社はコメントしてます。
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ボーイングの737やエアバス社のA320といったナローボディ機の生産は2万8140機。ボーイングの787や777などのワイドボディ機は9100機の生産が見込まれ、買い替え時期は2021年から2028年にピークを迎えるということです。
747-8やエアバス社のA380のような大型ワイドボディ機の生産は530機程度だと見積もられています。
地域別にみると、アジアで1万5130機、北米で8330機、ヨーロッパで7570機となっています。
貨物部門では年間成長率4.2%が見込まれ、フレイター(貨物機)が930機、ボーイング・コンバーテッド・フライター(改造貨物機)が1440機の需要が生まれると見ています。
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参照
http://www.reuters.com/article/us-airshow-britain-boeing-forecast-idUSKCN0ZR0SX?il=0
http://www.bbc.com/news/business-36763212
https://www.theguardian.com/business/2016/jul/11/boeings-jobs-pledge-shows-uk-is-open-for-business-says-cameron
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