プエルトリコのデフォルトに対するアメリカ議会の債務再編に関する動き



ルー財務長官がライアン下院議長に送った手紙




5月1日にプエルトリコが4億2200万ドルの(およそ449億円)3回目となる債務不履行(デフォルト)を宣言する数時間前、アメリカ本土ではジェイコブ・ルー財務長官がプエルトリコの債務720億ドル(およそ7兆6300億円)を再編する法案を通過させるために議会の緊急招集を求めていました。





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ルー財務長官はポール・ライアン下院議長に書面でプエルトリコの差し迫った状況を伝え、債務再編の必要性を訴えています。



ジカ熱という現実的な問題




「これは金融負債と訴訟にまつわる話だけにとどまらない。(プエルトリコの)病院では職員が一時解雇され、薬は配給の状態、医療サービスは縮小し、閉院が相次いでいる。ジカ熱による脅威が高まっているというのに、財政的制約でこれに対処するのが非常に困難な状況なのだ。蓋がされていない浄化水槽、打ち捨てられた住宅に墓地、積み上げられたタイヤの山。そんな蚊の幼虫が育ってしまう環境はかならずこれから危険をもたらすことになるはず。それなのにプエルトリコ政府は対策に使うべき財源を出すのにも窮しているのだ」





ルー長官は同日にスペイン語放送局のユニビジョンのインタビューに応え、プエルトリコの厳しい医療状況とこれから増加するであろうジカ熱に対応するためにも財源が足りていない状況について説明しています。


「プエルトリコに住む350万人が犠牲になるおそれというのはというのは現実の問題なんです。その脅威は日に日に高まっています」




さらに大きな山場となる7月1日の支払い





プエルトリコの政府開発銀行は今年中に新たに発行した債券することを条件に債権者側に2300万ドルの債権放棄に合意してもらい、利率の分は支払ったものの負債の元本については返済できませんでした。それでも7月1日が期限となっている債務は今回のデフォルトを超える20億ドル(およそ2100億円)。より一層財政状況は厳しくなります。



プエルトリコのガルシア知事はデフォルトを宣言したテレビ中継の中で、「我々はこれまでに緊急事態に陥っている現状を伝えるために何度もワシントンに足を運んだが、今のところ何の動きもない。日を増すごとに危機は高まっていくだろう」と言っています。





プエルトリコの債権保有者は世界各地にいるため、アメリカ政府に対して内外の圧力が高ま帝ます。天然資源委員会が提出した最新の法案では、公的借用機関をプエルトリコ自治領に設置し、財政破たんとほぼ同じプロセスを取って債務の再編が可能かどうかを判断するというものでした。



民主党はこの法案の通過を推進しましたが、プエルトリコの財政破たんがアメリカ本土にまで及ぶのをおそれた共和党は消極的な姿勢を示し、決着を見ないまま現在にいたっています。


アシュリー・ストロング広報官によると、「継続して議論は行っている」とのこと。




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