イギリスのEU離脱(Brexit)は貿易で2500億ポンドの損失になると元財務大臣が発表


アリスター・ダーリング元財務大臣が発表した試算



6月23日に行われるイギリスのEU離脱(Brexit)を巡る国民投票について、EU残留を支持する国内のロビーグループ、"Britain Stronger in Europe"は2日に、イギリスがEUから脱退した場合、貿易で関係しているEU諸国とその他50ヵ国以上との取り引きで総額で2500億ポンド(およそ1兆1700億円)の損失を生むだろうという見通しを発表しました。




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新たな自由貿易協定(FTA)を築くまでに要する年月




これはEU離脱賛成派が提唱している、世界貿易機関(WTO)の原則に従った交易だけをすることになった場合の取り引き額を数値にしたものだということです。また、1974年以降のEU圏内で行われた自由貿易協定の経緯を分析したところ、新たな自由貿易協定を確立するまでに平均で6年の時間が必要になるであろうと予測しています。



"Britain Stronger in Europe"のメンバーで元財務大臣であり元大蔵卿のアリスター・ダーリング氏は「今日のイギリスが自由貿易をするために依拠できるような貿易協定はEU圏外に存在しない」と主張しています。




イギリス貿易の60%を占める貿易圏




"Britain Stronger in Europe"の概算では、EU諸国とヨーロッパ経済協力圏国、その他自由貿易協定を結んでいる50ヵ国以上への輸出額は全体の約60%を占める6370億ポンド(およそ99兆円)に相当する計算になっています。WTOの規約に則った貿易をするとなると、関税が上がることなどから輸出額は6370億ポンドの3分の1、良くて250億ポンドになるだろうということです。




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イギリス政府が2014年の貿易を分析したところ、EU諸国、ヨーロッパ経済協力国、自由貿易協定を結んでいる国々との取引額は協定が結ばれていない状態にくらべてそれぞれ、76%、44%、17%高くなるという結果が出ていて、金額にすると2470億ポンド(およそ38兆4500億円)になるという結果が出ています。




EU離脱推進派の"Vote Leave"の反応





ダーリング氏の発表に対し、EU離脱を訴える"Vote Leave"の代表マシュー・エリオット氏は真っ向から否定しています。


「彼らが強調しているのはイギリス―世界第5位の経済大国であり世界中の国々と長い歴史をかけて貿易をしてきた国―がブリュッセルの管理下で貿易をしなければ経済の沈滞が起きるというもの。めちゃくちゃな話だ。EUからの離脱に票を投じれば、これまで頭を下げてきたEUの官僚主義の者たちから実力を取り戻せば、ブリュッセルに週3億5000万ポンド(およそ547億円)の送金をしなうてよくなるのだ。その分経済は活気づくし、自分たちのお金を自分たちの優先したいものに使えるようになる」




こうしたEU離脱後の経済の行先がBrexitの論点のひとつになっていますが、EU委員だったピーター・マンデルソン氏はEU離脱推進派の人たちが移民に対する恐怖を煽ることで国民投票に勝とうと躍起になっていると、その姿勢に対して批判を行っています。




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