新型コロナウイルスに感染すると?研究はどこまで進んでいるのか

新型コロナウィルス

新型コロナウイルスについてわかっていること

2019年12月に中国の武漢で感染が確認され、世界中に広がっている新型コロナウイルス(2019-nCoV)。中国の国家衛生健康委員会の発表によると、2月10日の時点で新たに108人の死者が報告され、中国での死者総数は1,016人に達した。中国本土で新たに確認された患者数は2,478人で、前日の3,062人から減少し、合計42,638人になったという。しかし、この感染症に関してはまだ研究が進められている状況であり、ワクチン開発も途上にある。新型コロナウイルスについて今どのようなことがわかっているのだろうか。



新型コロナウィルスとは

「新型」と言われている今回のウイルスだが、まずコロナウイルスとはどのようなものなのだろうか。

発熱や上気道症状を引き起こすウイルスで、人に感染するものは6種類あることが分かっています。そのうちの2つは、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)などの、重症化傾向のある疾患の原因ウイルスが含まれています。残り4種類のウイルスは、一般の風邪の原因の10~15%(流行期は35%)の占めます。


2002年にやはり世界中で大流行した「SARS」もコロナウイルスの一種だが、すでに今回の新型コロナウイルスによる死者はそのときを超える数となっている。呼吸器感染症のウイルスとされ、発熱、せきなどの呼吸器症状が報告されている。WHOの新興感染症対策部門を率いるマリア・ファン・ケルクホーフェ(Maria Van Kerkhove)氏は症状について次のように説明している。「軽い風邪のような症状で、呼吸器症状、喉の痛み、鼻水、発熱、肺炎などがあります。肺炎の重症度は多臓器不全や死に至るまで様々です。」武漢市の市場の関係者から多数の患者が確認されており、感染経路などはまだはっきりわかっていない。咳やくしゃみによる飛沫を介して感染し、症状が出るまでに平均して5日から6日くらいかかる。



新型コロナウイルスがパンデミックとなる可能性は?

中国での急速な感染の拡大が確認されて後、各国は武漢市をはじめとする中国からの渡航者に対する検疫を強化したことから、現在は世界的な流行にまでは至っていない。もし流行が他の国に劇的に広がり続けるならば、地球規模のパンデミックとなる恐れがあり、一部の専門家はすでにその状況になりつつあると指摘している。


また、パンデミック後もウイルスへの対処法が見つからなかった場合、風土病へと移行する可能性もある。しかし、新型コロナウイルスについてまだ判明していないことが多いが、風土病となってしまう前に、封じ込める方法やワクチンなどが開発されれば、インフルエンザのような季節的な病気となり、いずれ減少していく可能性もあるという。そのためには、発生から数週間がカギになる。



効果が期待されている薬剤

現在、新型コロナウイルスへの効果が期待されている薬がある。それは抗ウイルス薬物「レムデシビル(remdesivir)」である。エボラ出血熱の治療を目的に開発された薬で、1月31日付New England Journal of Medicine誌によると、アメリカではじめて感染したワシントン州に住む35歳の男性に未承認のレムデシビルを投与したところ、副作用もなく退院できる状態になったという。すでに中国では2月初旬にレムデシビルの臨床実験を開始している。







また、動物において、レムデシビルが中東呼吸器症候群(MERS)やSARSの原因となるコロナウイルスなど、類似のコロナウイルスに効果があること確認している。しかし、緊急を要する状況ではあるものの、安全性や有効性についての医学的な裏付けはまだ示されていない。


さらに、2月4日付のCell Research誌で発表された研究によると、マラリアおよび自己免疫疾患の治療薬として承認され広く使用されているクロロキンが、ヒト細胞へのウイルスの拡散を阻止するのに有効であることが発見された。この研究ではレムデシビルもクロロキンも、人に対する毒性は見られなかった。




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