2019年のEU圏における発電CO2排出量が記録的減少



EU各国で発電のCO2排出量が大幅に削減


2019年にEU圏における発電分野で排出されたCO2が前年に比べて12%減少(1億2000万トン)したことが、イギリスの気候シンクタンクであるSandbagとドイツのAgora Energiewendeと共同年次報告書によってあきらかになった。ヨーロッパ各国でエネルギー資源が化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が図られていることが数字によって示された。欧州連合 (EU) 加盟国すべてで、硬炭(無煙炭)による発電量が減少し、全体では24%減少した。




2019年にEU圏で供給された電力のうち、風力と太陽光18%(569TWh)が占め、石炭は15%(469TWh)となり、風力と太陽光による発電量が石炭を上回る結果となった。わずか1年の間に、石炭発電量は24%減少し、2007年の水準の半分以下という数字を残したことになる。石炭発電量は24%減少し、2007年の水準の半分以下となった。また同報告書によると、イギリス、アイルランド、スペインといった自然エネルギーの導入に積極的な国々では、電力市場価格の下落幅も過去最高だった。


Agora Energiewendeの広報担当Christoph Podewils氏は、「欧州の排出量取引システムに炭素価格が設定されたことが今回の結果につながった」 とコメントしている。EUでは欧州連合域内排出量取引制度(EU ETS)でキャップ・アンド・トレード制度に基づく独自のルールを導入している。



キャップ・アンド・トレード制度とは、

排出権取引の1手法。あらかじめ温室効果ガスの排出枠に上限(キャップ)を設定し、排出枠を割り当てられた参加者間の自由な売買(トレード)を認める。温室効果ガスの排出量を対象部門ごとに制限でき、費用対効果も高いため、EUで行われている排出権取引制度(EU−ETS)をはじめ、各国・地域で実施、検討されている。
緑のgooより引用

このキャップ・アンド・トレード制度により、エネルギー、産業、欧州域内の航空業界の企業がクレジットを購入し交換することが可能となった。EU圏において、 2010年から2019年にかけて、電力構成に占める石炭の割合は10ポイント低下し、風力と太陽光の合計は13ポイント上昇した。2019年にガス生産量は増加したのにもかかわらず、それをはるかに上回る量の風力と太陽光の発電がおこなわれた。

EU加盟21カ国は石炭の段階的に廃止していく計画を立てていることから、今後もこうした傾向が続いていくものと見られる。ただ、東ヨーロッパは西ヨーロッパと比較すると、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行は遅れているのが現状である。ポーランド、チェコ、ルーマニア、ブルガリアは依然として亜炭発電に大きく依存していて、段階的な廃止計画を策定していない。






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