自動運転レベル(0~5)の世界基準とは?SAEの定義を知ろう

自動運転技術のレベルの定義とは?







現在、国内外の自動車メーカーとIT企業がタッグを組んで研究が進められている自動運転。アメリカのライドシェア企業のUberはすでに2016年にピッツバーグで完全自動運転のサービスを行っています。ニュースでも目にするようになってきた自動運転ですが、その段階にはきちんとした基準が設けられています。


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今後、車の購入をする際の参考にもなる、自動運転技術のレベルにクローズアップ!






アメリカでの自動運転の定義



実は自動運転のレベルは日本とアメリカではそれぞれ国土交通省と運輸省道路交通安全局(NHTSA)が異なる設定をしています。この記事ではアメリカの自動運転(英語では"self-driving cars"あるいは"autonomous cars")について紹介したいと思います。日本の自動運転の定義はこちらのページをどうぞ(海外ニュースを扱うサイトなので・・・)。



見えてきた「完全自動運転」の世界:日経ビジネスオンライン



アメリカ国内での運転技術の定義はNHTSAが設定していますが、2016年10月にそれまでの区分よりもさらに1段階多いSAEインターナショナルが定義した6段階の自動走行レベル区分を採用しています。

※SAE:自動車や航空機、宇宙事業などの製品についての標準規格を提案するアメリカの非営利団体。



ではその6つの走行レベル区分を見てみましょう!


SAEによる6つの自動運転レベル




レベル0(手動)

ドライバーが常時すべての運転操作を行う状態です。「すべて」の運転操作とは、


  1. ハンドル操作と加速/減速
  2. 走行環境のモニタリング
  3. 運転操作のバックアップ主体

の4つに分けられます。


レベル0は運転支援システムがまったく導入されていない車です。



レベル1(補助)


運転支援システムが項目1のハンドル操作あるいは減加速いずれかを走行環境に応じて行う状態です。事故の可能性や深刻さを軽減してくれたり、慎重な運転技術が必要な場面にそっと手を差し伸べてくれる段階です。



ドライバーはシステムがカバーしていない範囲の運転操作を行います。ドライバーアシストとも言われるこのシステムでは、


  • ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)による車間距離を一定に保つ機能
  • 衝突被害軽減ブレーキ機能
  • レーンキープアシスト機能
  • 車庫入れや駐車アシスト機能

などが含まれます。項目の2と3はドライバーが行います。





レベル2(部分的な自動化)


項目1について運転支援システムが走行環境に応じて行い、補助していない部分をドライバーが受け持つのは同じですが、ハンドル操作と減加速の両方自動化するのがレベル2です。徐々に運転の大事な動作にAIが関わってきます。 


項目2と3はドライバーの担当です。



自動運転分野で注目を集めているテスラ・モーターズの全車種は、2017年上半期現在でレベル2の段階とされています。




レベル3(条件付き自動化)

レベル3からがいよいよ自動運転の領域に入ってきます。項目1に加え、項目2の走行環境のモニタリングをシステムが担うようになり、ドライバーは常に運転環境に注意を払っていなくてもよくなります。



走行中のドライバーの「目」の役割ををしてくれるんですね。



しかし、これには条件があり、AIシステムから手動運転への切り替えの要請があった時にはすぐに対応できるようにしていなければならないというものです。




海外の自動車メーカーとしてはBMWの「3シリーズ」、フォルクスワーゲン(アウディ)の「Audi A8」などの車種が2017年内の販売が予定されています。





レベル4(高度な自動化)

項目1と2、そして3の運転操作のバックアップ主体もAIシステムとなるのがレベル4です。つまり、運転切り替えの要請に対してドライバーが応じられなかったとしても、そのままシステムが運転を続けられる状態です。



ただ、いくつかの特定の運転モードで自動運転をするもので、対応不可能な道路や気象の状況は存在します。





レベル5(完全自動化)

項目1~3のすべてを、あらゆる環境下で人間のドライバーができる運転をAIが行うのがレベル5となります。むしろ事故を回避するシステムは人の能力をはるかにしのぐことになるでしょう。


自分専用のタクシーに乗っているのに近いかもしれないですね。



自動運転のレベルが上がると交通事故はどのくらい減るのか、また責任はどうなるのかについてはこちらの記事をご覧ください。




参考記事⇒自動運転化で交通事故はどうなるか?














自動運転の現在と今後あと何年でレベル5の完全自動化は実現するのか




基本的にはこのSAEの策定した自動運転の規格に世界の自動車メーカーは合わせて開発を行っていくことになります。このレベル設定ではレベル0~レベル5までの6段階に定義されています。出発地点から目的地まで、すべて車が行ってくれる完全自動運転はレベル5になります。


レベル2までは運転支援の段階で、レベル3~4のあたりで運転の主体がAIに移り自動運転の実現に近づきます。



2017年現在では、自動車メーカーの自動運転技術はレベル2の状態で、BMWやアウディなどが年内に販売車両のレベル3の実現を目指しています。




自動車の走行における人間の役割が「運転」から「監視」そして「解放」へと移行していく中で、「監視」の段階も事故が起こりやすくなるのではないかと考えられています。それは集中力が途切れ、他の作業に意識が移っているために危機的な状況へ対応できなくなるからです。



こうした危険をあらかじめ排除するために、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)という技術の発達も必要となってきます。HMIとは、人とコンピュータの間に立ってそれぞれの情報をつなぐ仕事をするシステムです。たとえば、ドライバーがハンドルに置いた手の様子からその生理状態を判断したり、逆にハンドルから手に刺激を送ることで集中力の持続を促します。



レベル5の達成まではHMIが運転の安全をサポートすることになりそうです。



それではいつからレベル5の完全自動運転が実現するのでしょうか?





テスラ・モーターズのイーロン・マスク氏は2017年上半期でのレベル5の実現を表明しています。


また、2016年7月に自動運転分野で提携したBMWとインテル、モービルアイの3社も公道を使用したレベル5の走行試験を年内に開始すると1月4日に発表しています。



3月16日にベルリンで開催されたイベントでBMWは、レベル5の車両を2021年までに市場に投入する計画であると公表してます。





テスラ・モデルXによる自宅から会社まで完全自動運転の再現ムービー。




見ているだけで気分が高揚してしまうような動画ですが、私たちがこのような生活をする日もそれほど遠くはないようです。






☆ニュース・イングリッシュ☆



  • 自動運転車…self-driving car, autonomous cars, driverless cars
  • 標準規格…standard
  • 走行試験…running test, driving test




参考記事:

テスラ・モーターズとモービルアイの契約終了

自動運転フル稼働に必須の「レベル5」までの遠い道のり | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)







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参照
http://www.self-driving-car-jp.com/definition.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ04I18_U7A100C1000000/



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