木星探査機「ジュノー」が調査開始。ガス層のデータも収集する

木星とジュノー

これまでの2機よりもはるかに木星に接近したジュノー




8月27日に米航空宇宙局(NASA)は無人探査機「ジュノー」が木星に初めて接近し、謎に包まれているその惑星の調査をスタートしたことを発表しました。ジュノーが撮影した木星の姿の姿も送られてきています。






木星から4200km




7月5日に木星の軌道上に入っていたジュノーにNASAはガス状の雲から4200km離れたところを通過しました。探査機としてはこれまででもっとも近づいた距離です。




それまでもっとも近かったのはパイオニア11号が1974年に接近した4万3000kmだったので、ジュノーはその10分の1の距離まで木星に寄ったことになります。









他に木星のそばを通った探査機は1995年から2003年に周回軌道上で調査を行ったガリレオだけしかありません。





祝!探査機ジュノーが木星周回軌道に、偉業を解説 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト




最接近の時間はグリニッジ標準時で12時51分、木星の北から南へ時速20万8000kmで移動していき、8つの調査機器とカメラのスイッチが入れられいよいよ調査が始まりました。




2011年から5年かけて木星に接近





地球から見て火星のさらに向こうを公転している木星との距離はおよそ28億km。到着まで5年かかっています。ちなみにNASAが将来有人探査を計画している火星までの距離は数千kmで、5ヶ月で到着します。




楕円状になっている木星を一周するのにおよそ53日で、これからジュノーはガス層のさまざまな層にも入り成分や温度や運動の調査や磁場のデータを収集します。




テキサス州サンアントニオ(San Antonio)のサウスウェスト研究所の科学者でありジュノーの主任研究員スコット・ボルトン氏は「これほど近くで太陽系の王を見てどんな様子なのかを解明できる機会はこれまでなかった」とこれからの成果に期待しています。







木星の内部についての具体的な情報が集まれば、その成り立ちの謎を解くヒントにつながるかもしれず、さらに太陽系誕生にまつわる事実をつきとめられる可能性があります。




木星の中心に近い部分では固体になっていて中心核があるのか、それとも高密度に凝縮されたガスが存在しているのか。また、木星の模様の中でも特徴的な渦「大赤斑」は数千年も時速600kmの激しい風が吹き荒れていると見られていますが、その大赤斑についてもなにか新しいことがわかるかもしれません。




ジュノーが行う予定のミッションは2018年の2月まで続く予定です。それまでに木星に35回接近することになっていますが、ミッション終了後には軌道を調整して木星の大気圏に突入し破壊されます。









<追記>




ジュノーが撮影した木星の動画




12月11日に3回目の接近を行ったジュノーが撮影した写真は、「Strings of Perls」(真珠の首飾り)と呼ばれる現象。



高度2万4600kmから収めた真珠の首飾りの正体は木星の南半球にある嵐で、現在この惑星にはこうした嵐が8つあるそうです。




2017年の2月17日に予定されていた接近のマヌーバ(移動)は断念することになりましたが、木星の南極部分に当たる写真が送信されてきています。











参照


http://www.bbc.com/news/science-environment-37200337
http://www.afpbb.com/articles/-/3098884
https://www.theguardian.com/science/2016/aug/28/nasa-spacecraft-juno-skims-jupiters-clouds-in-record-breaking-mission
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/090600332/
http://www.excite.co.jp/News/science/20161215/Sorae_36344.html

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