https://youtu.be/nofu4pxmFgs |
トルコ国内でのテロ活動を防ぐための軍事活動
先週からシリアに越境して内戦に介入を始めたトルコは、当初ISと同列としてシリアのクルド人勢力にたいして攻撃を加えていましたが、アメリカの働きかけもあり中断しています。
アメリカはこれを歓迎し、IS(イスラム国)との戦いに集中するよう促しています。
シリア内戦はおおまかには3つの勢力に分かれています。まずバッシャール・アル=アサド大統領の政府軍で、ロシアやイランがこれを支援しています。先ごろはイランの空軍基地からロシア戦闘機が出動し、シリアでの空爆に向かうことがありました。
そして2つめは反政府勢力。ことの発端である2011年のアラブの春のときに政府打倒を目指した人たちで、そのときからアメリカが支援しています。今月初めには反政府勢力側が化学兵器を使用したとロシアがアメリカに通告し、問題になっています。また、トルコやイラク、クルド人勢力も反政府軍を支援していいる国です。
そして最後がISやアルヌスラ戦線(現在はシリア征服戦線と改称)の政府軍にも反政府軍にも属さない勢力です。ISは29日にアブ・モハメド・アドナニ幹部がシリア北部のアレッポで空爆により死亡するなど、シリアやイラクでの勢力が縮小しつつあります。
参考記事:アレッポでの戦闘が激化。病院の被害などで子供の犠牲者が100人ちかくに
シリアにも拠点を置くISとクルド人勢力
今回トルコは第三勢力であるISへの攻撃はもちろん目的の1つとして掲げられていたのですが、同時に反政府勢力を支援するクルド人勢力との間でも戦闘をくりひろげています。
トルコ国内では8月20日のカジアンテップの結婚式場でのテロや6月のイスタンブールの空港でのテロなどはISが関与していると見られ、8月17日、18日にトルコ南部の警察署で発生したテロはクルド労働者党(PKK)が起こしたものだと考えられています。また、7月の軍部によるクーデター未遂事件の首謀者であると政府が断定しているギュレン師はPKKを支援していると主張しています。
トルコは24日にシリアとの国境を超えると反政府軍の自由シリア軍(FSA)とともにISの拠点を攻撃していましたが、その後付近の村に駐留していたアメリカの支援するクルド人勢力のシリア民主軍(自衛隊)との戦闘を開始し、その際に民間人40人以上が犠牲になっています。
Turkey is sending more tanks over the border into Syria https://t.co/xcJK1II2tw pic.twitter.com/oeahc0pf2J— The New York Times (@nytimes) 2016年8月25日
現在ははっきりとした停戦にまではいたらず、米軍報道官は「緩い停戦合意」の状態であり、確固としたものにして欲しいとコメントしています。
シリア難民1万人の受け入れを米オバマ大統領が発表
6年近く続くシリア内戦のために5000万人の難民が国外へと難を逃れ、安全に暮らせる場所を求めていますが、3月に西ヨーロッパへと向かうバルカンルートが封鎖され、トルコへと送還される合意がEUとトルコのあいだで結ばれてています。ギリシャでは難民キャンプが撤去されて3カ月が経った今でも4万人以上の人が難民申請を求めている状態です。
「国境を開いて」GREECE - A child holds a placard during a demonstration in support to refugees & migrants in Athens. By @lgouliam pic.twitter.com/NUq5uaCZMy— AFP Photo Department (@AFPphoto) 2016年8月29日
アメリカのオバマ大統領は30日に今年度中に1万人の難民を受け入れることを表明し、さらに来年度のために数千人の受け入れを確定しておくことも議会と協議していると発表しています。
民主党が明確に打ち出すトランプ氏と逆の方針
移民についての議論は11月に行われるアメリカ大統領選挙の争点の1つとなってきました。共和党の指名候補トランプ氏はイスラム教徒の入国審査を厳しくするべきだと主張するなど、国内の反イスラム感情の受け皿となる政策を主張しています。(⇒共和党大会でイスラム教団体がユーモアで融和よびかけ)また、トランプ氏はシリア難民については湾岸諸国に資金を提供してそれぞれに受け入れをしてもらうよう説得し、アメリカ本国には入国させないという方針を打ち出しています。
7月24日にシリア難民の男性がアンスバッハで爆発事件を起こすなど、ISによるものも含めてイスラム系の人によるテロ事件が相次いでいるドイツでは、これまでに100万人以上の難民を受け入れています。国内での移民反対の世論が高まる中でも、メルケル首相はこれからも受け入れを続けると言う意思を表明しています。
また、昨年11月に就任したカナダのトルドー首相もその直後に2万5000人の受け入れを発表し、これまでに3万人近くがカナダに移住しています。
一方で、オーストリアやハンガリーでは国境で移民を追い返すなど入国審査を厳格化し、自国への流入を制限しています。
アメリカはこれまでに3300人ほど受け入れてきましたが、トランプ氏のスタンスと違いを鮮明にする大規模なシリア難民の移住を決定したことになります。
⇒トルコ関連記事はこちら
参照
http://www.bbc.com/news/world-middle-east-37226409
http://jp.reuters.com/article/mideast-crisis-syria-idJPKCN11406Q
http://www.aljazeera.com/news/2016/08/syria-war-takes-10000-refugees-year-160830072845133.html
http://www.bbc.com/japanese/37227652
http://www.afpbb.com/articles/-/3098602
http://www.jctv.co.jp/sociallikers/sns/1300/
http://eumag.jp/behind/d1015/