インドの歴史的税制改革
8月4日にインド議会の上院で全国一律の間接税を制定し、インド国内の市場を統一するための法案が通過しました。
これまでインドでは各州によってそれぞれに間接税を定めていましたが、「物品・サービス税(GST)」が導入されることにより、その経済効果は2兆ドル(約200兆円)とも言われ、インド経済のさらなる活発化が期待されます。
10年かかった間接税統一の法案通過
物品・サービス税は10年以上前から議会で検討されてきましたが、これまでずっと反対する議員が多く、実現されないままでした。アルン・ジャイトリー財務相は憲法改正について議会で議論を行っている際に、議員たちにこう語っています。
「間違いなく経済の押し上げにつながるはずだ。重要な段階にある現時点でしなければならない快晴なのだ」
モディ政権は2014年の発足以来もっとも大きな改革となる物品・サービス税の導入は、与党のインド人民党(BJP)と、野党の国民会議派(NCP)などの合意によって法案通過が現実のものとなりました。
2015年に下院では法案が通過していましたが、具体的な内容について上院で議論がまとまらず、いくつかの修正を加えて晴れて上院でも通過の日を迎えることができました。修正点について下院の承認を得て、全29州のうち過半数が法案に批准すると物品・サービス税は成立しますが、来年の4月の見通しとなっています。
⇒16州以上が批准したことを受けて9月にプラナブ・ムカルジー大統領が署名。法律として制定され2017年4月1日に施行されることが決定しました。
インド経済の大きな後押しをする物品・サービス税
インドの経済自由化が始まったのは今から25年前になりますが、税制については後れを取ったままの状態が続いていました。物品・サービス税が憲法改正によってスタートすると、インドのGDP年間成長率は1.5~2ポイント上昇すると見られています。
間接税が州によって税率がばらばらであったため、これから国が定める税率よりも高かった南部のタミルナドや西部のマハラシュトラ、グジャラートなどでは減収になると見られていますが、それも5年の内に回収できるとアナリストたちは予想しています。
新しい税制が成立したら、企業は仕入れ先に多く払っていた税金の控除を国に請求することができます。その面ではやはり一時的に国の税収が減ることになりますが、これまで州をまたいで物資を輸送するのにそれぞれの州の制度が妨げになって滞っていたのがインド全土で活発に物が動き回ることになり、トータルでは国の歳入も増えると考えられます。
物品・サービス税の導入により、電化製品などはこれまでよりも減税となるものの、タバコや炭酸飲料、外食サービスなどは大きく増税となります。
参照
https://next.ft.com/content/e2bb92d2-593d-11e6-9f70-badea1b336d4
http://www.afpbb.com/articles/-/3096290
https://www.theguardian.com/world/2016/aug/03/india-votes-in-favour-of-sweeping-tax-reforms
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201609284758/
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