新型コロナウイルスについてのインフォデミックとは?

COVID-19に関するフェイクニュースなどから生まれるインフォデミック



2019年12月に中国湖北省武漢市で病原体が不明の肺炎患者が続出。それが新型コロナウイルスであると判明し、「COVID-19」と名付けられた。日本時間29日午前4時時点の統計で感染者数は64万778人、死者は3万3人にのぼっている。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3月11日に「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」、同月23日にはパンデミックが「加速している」と表明している。パンデミックとはWHOの「インフルエンザウイルスパンデミックフェーズ」の「ステージ6」に当たる段階である。


フェーズ6(パンデミックフェーズ)は、フェーズ5に定義された基準に加え、WHOの異なる地域において少なくとも他の1つの国で市中レベルでのアウトブレイクがあることである。このフェーズが指定されることは、世界的なパンデミックが進行中であることを示すものとなるだろう。
国立感染症研究所、 感染症情報センターHPより


新型コロナウイルスによるインフォデミック



そんな中、情報(Information)の流行(Epidemic)する「インフォデミック」がSNSを中心に広がっている。偽の情報やフェイクニュースによって、有毒な物質を「治療」として服用する人が出たり、企業が倒産に追い込まれたり、命を救えるはずの薬が嫌煙されたりなど、オンライン・ウイルスの誤情報が氾濫することによって、現実世界は壊滅的な打撃を受けている。


参照:フェイクニュースの事例と対策


イランでは国営イルナ通信によると、新型コロナウイルスに効果があるとして210人以上が有毒なアルコールを飲み、死亡したという。またAFP通信は、火山灰の摂取や、紫外線照射や塩素系消毒剤による治療といったフェイクニュースも出回っていると伝えている。韓国の教会では信者に塩水を散布して逆に感染拡大を招いた可能性があるケースや、メタノール水溶液や工業用エタノールを消毒に使用して中毒症状を引き起こしたケースもある。



コロイド銀が効果があるという情報も流れており、オーストラリアでは入手できない状態になったが、米国立衛生研究所 (NIH) によると、コロイド銀を服用すると、皮膚が青みがかった灰色に変色したり、抗生物質など一部の薬の吸収が悪くなったりする副作用があるという。また、コカインや漂白剤の溶液が治療薬になるという情報がSNSで広まり、フランス政府がそれを否定するツイートをしている。


その他にも、ファクトチェックの普及活動を行う非営利団体「ファクトチェック・イニシアティブ」によると、世界中でコロナウイルス関連の偽情報が流れているようです。


  • 「ユーカリの蒸気によってコロナウイルスを殺すことができる」(スペイン)⇒検証団体により否定
  • 「アメリカのニューヨーク大学の機密研究によると、新型コロナウイルスに感染した一部の患者はユーカリで治癒した」⇒ボリビアの検証団体により否定
  • センザンコウという動物がコロナウイルス流行の原因であることが証明された」⇒ミスリード
  • 複数の企業の最高経営責任者(CEO)がCOVID-19について事前に情報を入手しており、辞任して株式を売却した」⇒アメリカの検証団体により否定
  • 「中国がCOVID-19に汚染されたマスクを輸出している」⇒ブラジルの検証団体により否定
  • 「コロナパンデミックが現実になってしまったのは、世界中の政府や科学者の主張に反して、5G携帯電話の放射線によるものだ」⇒デンマークの検証団体により否定
  • 「soboloと呼ばれるハイビスカスを使ったハーブティーが、新型コロナウイルス感染症を治せる」(ガーナ)⇒ガーナの検証団体が否定
  • 「抗生物質であるアジスロマイシンは、新型コロナウイルスに対して本当に有効である」⇒フランスの団体が否定



韓国の保健当局は、新型コロナウイルスへの対応において、インフォデミックのために感染拡大の抑制がより困難になっているとして、国民に対し誤解を招くような報道に惑わされないよう訴えている。


インフォデミックは感染拡大に対する国の対応を妨げ、誰がどの情報源を信頼すべきかわからなくなった市民の混乱を増幅し、恐怖とパニックを引き起こす。


韓国当局は、まず情報源が検証され、科学的に立証されているかどうかを確認するよう求めている。







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