スイスのベーシックインカム導入を問う国民投票は否決


投票者の76.9%が反対という大差



国民すべてに一定の金額を収入として支給するベーシックインカムの導入を問う国民投票がスイスで行われ、賛成が23.1%反対が76.9%となり、圧倒的多数でベーシックインカムは採用されないことが決まりました。





賛成が上回ったのはスイス西部の共同体1つと、ジュネーブとチューリッヒの2つの市だけでした。






国民投票実現のために10万人を超える署名を集めたベーシックインカム導入を推進するグループの案としては大人に毎月500スイスフラン(およそ27万円)、子供に625スイスフラン(およそ6万8000円)を支給する予定でした。




ベーシックインカムは国民の最低所得を保障するのを目的としているため、200スイスフランの収入がある場合には差額分の300フランが支給されることになります。




年間に必要な資金と経済競争力の低下というデメリット





しかし、スイス政府としては年間2080億スイスフラン(約22兆7000億円)以上の支出が必要になることや、経済競争力が低下するとの理由からベーシックインカムの導入に反対の姿勢を表明し、国民にも反対に票を投じるよう訴えていました。





巨額の支出に対してベーシックインカムを推進する非営利団体は年間100兆スイスフランにも上る電子取引に0.2%程度の少額の課税をすれば2000億スイスフランの税収が見込め、これをベーシックインカムに充てることを提案していました。


このときスイスでは同時に難民制度改革法、公共サービス拡充法案、道路渋滞緩和のための財源確保法案、着床前診断の試験導入法について国民投票が行われ、難民制度改革法と着床前診断の試験導入法が可決されました。





現在、スイスの他にフィンランドやオランダがベーシックインカムについて検討しており、今回のレファレンダムの結果がどう影響するでしょうか。




フィンランドは国民投票という形ではなく試験的な導入が2017年に実施されます。国民の中から無作為に2000~3000人を抽出し、2年間毎月560ユーロ(約6万5000円)を支給します。2年間の実施で現行の社会制度とどちらが望ましいかを判断するというものです。




<追記>

2016年12月にフィンランド政府の保健・社会政策相は2107年1月からベーシックインカムの試験的導入を開始するという内容の発表を行いました。1年の試験期間を経て、2年目をどうするかを評価するということです。


試験対象者は失業保険を受けているなどの状況にある成人から無作為に選出されています。







参照


http://techcrunch.com/2016/06/06/swiss-reject-universal-basic-income-in-public-referendum/
http://www.asahi.com/articles/ASJ664GFBJ66UBQU009.html
http://business.newsln.jp/news/201606051624530000.html
http://www.swissinfo.ch/directdemocracy/vote-june-6_basic-income-plan-awaits-voters-verdict/42200378
http://business.newsln.jp/news/201609012340390000.html
http://basicincome.org/news/2016/12/finlands-basic-income-experiment-2017/


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