理由は「ISの人物」だと勘違いされてしまうから
イスラム教徒の国であるアラブ首長国連邦(UAE)では、男性が白い服の「カンドゥーラ」とターバンの「グトラ」といった民族衣装を、女性が黒い「アバヤ」という服を着ています。政府は、アメリカに渡航する国内のビジネスマンに対し、カンドゥーラやグトラの着用を控えるよう忠告しています。
#UAE tells citizens to avoid national dress, headscarf while abroad after man held in #UShttps://t.co/SXC2EsMcZH pic.twitter.com/q0X9Gjy5mr— ST Foreign Desk (@STForeignDesk) 2016年7月3日
アメリカでこの民族衣装を着ているとISの人間だと勘違いされてしまうからだということです。
ISの一味だと思われてしまうことへの配慮も実はそういったトラブルがあったためにUAE政府が通知した内容だったのです。
それは先週のことで、アメリカのオハイオ州エイボンを訪れていたUAEの男性が、宿泊しているホテルの女性従業員の「ISの人物がいる」として911通報があり、急行した警察によって拘束されるという事件がありました。
#UAE MoFA warns against wearing national dress abroad after #Emirati arrested in #US https://t.co/v9JJc9610d pic.twitter.com/DGiQgkufpC— Shoshana Kedem (@B_shosh) 2016年7月3日
男性はISと間違えられて逮捕されたことにショックを覚えて気を失ってしまったそうです。これまでずっとこの服装だったけどこんなことはなかったと語っています。警察やホテル側からは何の謝罪もなく、弁護士を雇って訴える予定だということです。
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これを受けてUAE外務省は次のようにツイッターで海外を訪れる人向けに注意を促しています。
「海外に行く方々に向けて。身の安全を確保するために、旅行中、特に公の場では正装の着用を控えるようお願いします」
直接的にエイボンの事件には触れていませんがこう忠告しています。
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また、女性に向けてはヨーロッパ諸国の中には顔を隠す「ニカブ」や「ブルカ」を法律で禁じている国があるので注意するよう呼びかけています。
フランスでは海岸でイスラム教の女性用水着「ブルキニ」の着用が禁止され、着用していた場合38ユーロの罰金が科せられることになっています。
参照
http://www.reuters.com/article/us-emirates-usa-arrest-idUSKCN0ZJ0BE?il=0
http://www.thenational.ae/uae/emiratis-urged-not-to-wear-national-dress-while-abroad
http://www.news.com.au/world/breaking-news/uae-men-told-avoid-national-dress-abroad/news-story/5ad40e094ce2d2dc48cb2647fd980517
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