インドネシア政府がタックス・アムネスティを導入。海外の隠し資産を国内に呼び戻す狙い


<情報更新あり>

タックス・アムネスティによっておよそ4600億円の増収が見込まれる




インドネシア政府は18日に、海外に財産を置いて課税を逃れた資金に対して恩赦を与える「タックス・アムネスティ」の実施を始めたことを発表しました。




これによってインドネシア国内に資産を呼び戻そうという政策で、この措置によって政府の収入は44億ドル(約4646億円)の増加が見込まれているということです。(⇒世界各国の政治家や有名人の隠し資産を暴いた「パナマ文書」







バンバン・ブロジョネゴロ財務相(現在は後任にインドラワティ氏が就任)は首都のジャカルタでの記者会見で「今日から恩赦を受けたいという人の受け付けを始めた」と発表。



バンバン・ブロジョネゴロ前財務相


タックス・アムネスティとは




インドネシアのタックス・アムネスティは、海外に資産を隠して租税を回避した納税者が、2017年3月までにその隠し海外資産についての2~5%の税金を支払えば滞納税などが免除されるというものです。




また、インドネシア国内に戻した財産を3年のあいだ政府債に投資すれば、その後はインフラ、小売り、不動産などの別の分野に投資することが可能になります。




財務省当局は先週、海外資産の送金先として資格を有した銀行を7行から18行に増やしたとの声明を出していますが、ブロジョネゴロ財務相は正式な通達はまだこれからであるとしています。各銀行は預かった資産を政府がリストアップした資産運用会社や証券会社に投資することができます。




8月19日に正式にタックス・アムネスティ(租税特赦制度)が発布されています。対象となるのは2016年6月30日以前を支払期限とする税金で、報告の期限は2017年3月31日となっています。



トルコではすでに2011年にタックス・アムネスティが実施されていて、トルコで保有している資産(債券や不動産は対象外)または海外に保有していてトルコに移動させて登録した場合には税務調査を受けないというアセット・アムネスティの内容も含まれています。



すでにタックス・アムネスティによる経済効果が





インドネシア銀行のアグス・マルトワルドジョ知事は上向きにあるインドネシア経済をタックス・アムネスティがさらに押し上げてくれるという期待を示しています。



アグス・マルトワルドジョ知事



「タックス・アムネスティと資本の国内流入によって右肩上がりになっていくだろうと、きわめて楽観視している」(マルトワルドジョ知事)





タックス・アムネスティ法案は6月28日に国会で通過しましたが、その後インドネシアの株式相場JKSEの主要株価指数は5%の上昇を見せ、外国人投資家の買い残はおよそ10兆ルピア(約800億円)に達しています。(⇒インドでは統一間接税を導入。大きな経済効果が見込まれる






しかし、制度施行から1ヶ月が過ぎたところで、制度による税収は当初の見込みのわずか0.5%にとどまっています。新しく財務相の任に就いたインドラワティ氏は制度の期間を逃したら重い課徴が待っているという警告を出しています。




参照

http://www.reuters.com/article/us-indonesia-tax-idUSKCN0ZY098?il=0
http://www.quick.co.jp/page/quick_report_detail.html?detailNo=192
http://www.thejakartapost.com/news/2016/07/18/tax-amnesty-program-likely-to-boost-growth-bi-says.html
http://www.businesstimes.com.sg/government-economy/indonesia-to-let-tax-amnesty-funds-be-invested-in-stocks-bonds-funds-official
https://www.vergiportali.com/upload/1-PwCJapaneseBulletin2016.pdf




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