マレーシア補欠選は与党が勝利。ナジブ首相がマハティール元首相を退ける

                                                                                            picture by Firdaus Latif

サラワク州のヘリ墜落事故で亡くなった下院議員2人の空席を埋める選挙



18日にマレーシアのスンガイ・ベサールとクアラ・カンサーで実施された補欠選挙はナジブ・ラザク首相が率いる統一マレー国民組織の候補者が当選し、対立関係にある元師匠のマハティール元首相を退ける形になりました。





今回の補欠選挙は今年の5月5日に起きたサラワク州のヘリ墜落事故で亡くなった下院議員2人の代わりにあらたな議員を選ぶ選挙でした。




補欠選挙が実施されたスンガイ・ベサールとクアラ・カンサーはいずれもマレーシア半島西部の沿岸地域。農業と漁業を中心とした地域です。





マハティール元首相がナジブ首相に挑んだ選挙




ナジブ首相は政府系の投資ファンド「ワン・ マレーシア・デベロップメント(1MDB)」との汚職疑惑と、さらにナジブ首相個人の口座におよそ6億8000万ドルの送金があった資金疑惑が浮上していて、3月23日にそれらについてマハティール元首相がクアラルンプールの高等裁判所に提訴していました。





ナジブ首相も1MDBもともにすでに説明を果たしているとして汚職疑惑と職権乱用行為についてこれ以上議論を続けないためにも今回の補欠選挙は大きな位置づけとなりました。










いまだ捜査当局からの事情聴取さえ受けていないナジブ首相は、これからさらに与党の統一マレーシア国民組織における求心力を強め、政治圧力がもっと高まることによって事件の真相は闇の中から出てこない可能性が大きくなってきました。




「国民はマハティール氏のつく嘘にノーの答えを出した。うまくいきもしない前の政敵との連立についてもだ。支離滅裂な野党に対してもだ。そんなマハティール氏と野党が協調してしまったことも敗因の1つにあるだろう」





とナジブ首相は選挙結果を受けてコメントしています。







ナジブ首相の実権がさらに強固に





マレーシアの首相を22年務めたマハティール元首相は2003年にその座から退いていますが、ナジブ首相の強権に反感を抱いて統一マレー国民組織を抜けたのは2015年のことでした。マハティール元首相は野党と共闘して今回の補欠選挙に挑んだのでしたが、その力が及ばずナジブ首相の独走に待ったをかけることができなかったことになります。












1MDBに関する疑惑はマレーシアだけでなく少なくとも6ヵ国で汚職に関する捜査が行われていますが、議会に設置されていた諮問委員会も解散が決まっているため、同社のマネーロンダリングについての糾明も進展が難しくなるのではないでしょうか。





<追記>
9月に入ってナジブ首相の妻ロスマ・マンソール夫人がこの数年間で私用したクレジットカードの利用額が600万ドル(約6億5000万円)に達しているという文書が公開されふたたび疑惑が強まっています。











参照

http://news.asiaone.com/news/malaysia/najib-defeats-former-mentor-mahathirs-challenge-twin-elections
https://www.asiax.biz/news/38407/
http://jp.reuters.com/article/malaysia-politics-idJPKCN0WP0GF
http://jp.wsj.com/articles/SB11031890582215644392604582091883370262116
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-05/O6P3G76TTDS601
http://jp.wsj.com/articles/SB12617220903726724586904582308561530586818


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