カストロ議長「キューバが米州機構に復帰することはない」

ラウル・カストロ議長
                                           picture by Government.ru

キューバで開かれたカリブ諸国連合(ACS)の場で


キューバのラウル・カストロ国家評議会議長は4日にハバナで開かれたカリブ諸国連合(ACS)のサミットでベネズエラに対して制裁や除名を検討している米州機構(OAS)に対して「帝国主義支配の道具」だとくぎを刺し、キューバが同機構に復帰する意向はないと発言しました。






ACSサミットの様子



米州機構(OAS)とは




米州機構は1951年に発足した北中南米の34ヵ国が加盟している国際機関で、所属している国の諸問題を解決する目的で設立されました。しかし、冷戦下の1962年にOASはキューバの除名を決定。




以後、OASはキューバにとって中南米諸国との関係を邪魔する常に目障りな存在であり続けたのですが、アメリカがオバマ政権になってから対キューバ政策が友好的になったことやOASが次第にアメリカ中心ではなくなってきたために47年経った2009年6月3日に除名が解除されます。




ベネズエラへの圧力を強めるOASに対抗する姿勢を鮮明にするキューバ





それでもキューバはOASを敵視する姿勢を崩さないまま現在にいたったのですが、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が国内で大きな反発を受け弾劾を問う国民投票が求められ、OASは野党に政権を譲渡させる動きに対してカストロ議長は背後にアメリカの存在があると訴えるマドゥロ大統領を擁護する立場を取ったのでした。



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「強固で無条件な支援」をマドゥロ大統領に対して行うとし、正当な政権を担っている人物としてカリブ海諸国25ヵ国は支持するべきだと主張しています。


マドゥロ大統領の弾劾裁判を巡る動き


衰退しつつあるラテンアメリカの左派勢力の団結を求めるカストロ議長





しかし、アメリカからOASの主導権を取りつつあった左派政権のラテンアメリカの諸国はベネズエラに限らず力を落としつつあり、中心的な存在であったブラジルもルセフ大統領が弾劾裁判にかけられ、職務を停止させられています。(⇒8月31日に罷免が決定。テメル副大統領が大統領に昇格)。



参考記事:ブラジルのルセフ大統領への弾劾決議が上院でも可決。大統領の職務停止に




カストロ議長はこうした流れに危機感を覚え、議会が新自由主義の右派が構成する寡頭政治が行うクーデターであり、「平和や安定、欠くべからざる地域の一体化に対する脅威だ」と警鐘を鳴らしています。





現在はテメル大統領が運営するブラジルの政権にキューバやベネズエラ、エクアドル、ボリビア、ニカラグア、エルサルバドルは前政権のルセフ氏への支持を表明しています。今回のOAS不参加の表明も、ラテンアメリカとカリブ海諸国の左派勢力の連携を強める目的があったものと見られます。



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キューバとアメリカと言えば、3月20日にカストロ議長とオバマ大統領が1961年の国交断絶以来初となる首脳会談が実現しています。アメリカ大統領のキューバ訪問は88年ぶりとなります。




しかし、それはあくまでも国交正常化に向けた一歩に過ぎず、ラテンアメリカの左派勢力をまとめつつロシアや中国との連携を維持していく方針には変わりありません。





参照

http://www.presstv.ir/Detail/2016/06/05/468970/Cuba-Castro-OAS-Almargo-Maduro
http://www.plenglish.com/index.php?option=com_content&task=view&id=4932841&Itemid=1
http://www.reuters.com/article/us-caribbean-summit-venezuela-idUSKCN0YP19L
http://jp.reuters.com/article/idJPnTK847660320090604
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/latinamerica/kikan/oas.html
http://www.huffingtonpost.jp/2015/04/11/barack-obama-raul-castro-meeting_n_7047652.html






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