「パナマ文書」をリークした"John Doe"が初めて声明を発表。どんな内容だったのか


「所得格差がこの時代が抱えている問題の1つであることは明白である」



4月の始めに南ドイツ新聞と国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公開した「パナマ文書」。それはオフショア取引によるマネーロンダリングや脱税を行っている世界各国の政治家や経済人、著名人の名前が連なっていました。パナマ文書は匿名の人物が南ドイツ新聞社に情報提供を持ちかけてきたことがきっかけとなり、世紀のスクープとなったのでした。


これまで沈黙を保ってきたその震源地である人物が初めて世に向かって口を開き、「所得格差がこの時代が抱えている問題の1つであることは明白である」と、富裕層の人たちが税金を免れてますます富んでいくのに対し、大多数の市民が限られた所得の中から税金を支払っている現状を変える目的でパナマ文書の公表を行ったと言っています。


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パナマ文書をリークした「ジョン・ドウ」の声明





この人物は「ジョン・ドウ」(John Doe、日本語の「名無しの権兵衛」と同義)と自らを名乗っていますがこれは仮名で、実名も性別も国籍もわかっていません。5日に「内部か外部か、いずれにしろ不正であることが明白である行為を公開した正真正銘の告発者であり、政府からの報復を免れて当然の人物である」と声明を出しています。



法律事務所のモサック・フォンセカから流出したパナマ文書は2.6テラバイトにもなる大量な情報で、これまでに公表されてきた人物名やオフショア取引の情報や5月10日にインターネット上でデータベースを閲覧できるようになる情報は、オリジナルの「パナマ文書」そのものではなく、ジョン・ドウは「法を執行する機関のみが手に触れ、評価することになる」としています。



「ペーパー会社は脱税という犯罪が行われる際によく付随して出てくるもの。定義上では違法ではないペーパー会社だが、広く連なって行われている脱税というレベルを超えるような深刻な犯罪に利用されていることを、パナマ文書を見れば疑いの余地もなく明白であることがわかる」とパナマ文書の重要性を説き、これを公表しようと思った理由について述べています。



「私がモサック・フォンセカにまつわることを明るみにしようと思ったのは、その創設者や従業員、クライアントがこうした犯罪でどのような役割を果たしてきたのか、という問いに対して答える義務があると思ったからだ。公表された人物名は全体の一部でしかない。モサック・フォンセカのあさましい事実があまさず世に知られるまでには何年も、あるいは何十年もかかることになるだろう」





南ドイツ新聞社で匿名のメールを受け取ったバスティアン・オーベルマイヤー氏とフレデリック・オーベルマイアー氏は、ジョン・ドウ氏が使用する暗号のチャットと一致していることから、今回の声明もパナマ文書をリークした本人であると確認しています。



南ドイツ新聞社とICIJが共同で調査した結果、パナマ文書に含まれている人物は世界各国で首相や大統領を務めた、あるいは務めている人物が12人。政治家や公人、セレブやスポーツ選手などの有名人128人。200以上の国と地域の人の名前が挙がっていて、ペーパー会社の数は21万4000社にもなります。



ロシアのプーチン大統領の側近や中国の習近平国家主席の親族など、そうそうたる人物の名前があり、すでにアイスランドのシグムンドゥル・ダヴィード・グンラウグソン首相が夫婦でオフショア会社を所有していた事実で国民から強い非難を受けて辞任に追い込まれています。



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政府関係者の人物ではない




パナマ文書が公表された直後、ロシアはプーチン政権にダメージを与えるために他国が目論んだ陰謀であるというコメントをしていますが、今回のジョン・ドウ氏の声明ではいずれの政府や諜報機関にに属する人間でもないし、政府の依頼を受けているわけでもなく、過去にそのような経歴はないとしています。





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