シリア内戦:アレッポでの停戦合意。シリア全土の戦争終結につなげられるか


4月の停戦合意に含まれなかったアレッポで




シリアのアサド政権は4月の終わりに宣言していたラタキアや東グータでの停戦合意を、シリア北部の町アレッポにも48時間の適用をするという声明を発表しました。停戦開始は現地時間で5月5日の午前1時から開始。4日にアメリカとロシアがアレッポでの停戦復活に向けて協議し、両国が合意に達したことからシリア政府軍もアレッポへの攻撃を中止する形になりました。


関連記事:アサド政権がシリアの一部地域で停戦。アメリカとロシアの働きかけで






アメリカ国務省が開いた記者会見によると、「一部地域で戦闘は続いているという報告があるものの、全体的にはそれぞれの攻撃が減少している」とコメント。



一方、シリア・アラブ通信社の報道ではシリア政府軍は新しい停戦合意が始まる5日の午前1時までは戦闘を継続する意向であるとしています。ロシア政府もアル・ヌスラ戦線が政府支配下の都市に対する攻撃を続けていることから、停戦合意は不調に終わったという見方を発表し、アメリカとロシア両国で異なる見解を示しています。




第三勢力アル・ヌスラ戦線も食い込んでいるアレッポ




ロシアが支援するアサド政権の政府軍と反政府軍を支援するアメリカ、さらにはISやアル・ヌスラなどの第三勢力が参入しているシリア。アル・ヌスラ戦線はアル・カイーダの下部組織として2012年に結成したテロ組織です。日本人ジャーナリストの安田純平さんを拘束したのはアル・ヌスラ戦線でした。



シリア停戦は今年2月に初めてアメリカとロシアで合意に達していますが、話し合いに含まれていない第三勢力であるISなどはこの停戦に反発し、直後に自動車爆弾テロを起こしています。






その後停戦合意そのものが有名無実化する中、4月末に停戦の組み直しが行われたのですが、そこには直前に政府軍が猛攻を仕掛けていたアレッポは含まれていませんでした。このときの攻撃で「国境なき医師団」が支援する小児病院も空爆の標的になり、アサド政権に対して国際的非難が集まりました。







ワシントンポスト紙の写真ギャラリー。「空爆後のアレッポ」


The scene after an airstrike in Aleppo - The Washington Post




*一部刺激の強い写真も含まれますのでご注意ください




シリア人権監視団体の報告では、4月22日以降に政府軍が行った空爆により反政府勢力の地域に住む人155人、政府勢力の地域に住む人124人の合わせて279人の民間人が死亡したとのこと。アレッポは反政府勢力だけではなくアル・ヌスラ戦線の勢力も入り混じっていることが、さらに状況を複雑にしているようです。




今後のシリア情勢のカギになるとみられるアレッポの停戦





4日にシリアに派遣されているスタファン・デミストゥラ国連特使は「今試されている場所こそアレッポ」なのだとし、トルコに向かう難民の数は40万人に上るとされるだけに、他の選択肢は「悲劇を生む結果になる」としています。



参考記事:EUとトルコの難民送還の合意。バルカンルート閉鎖の背景



まだら模様のように停戦合意がなされていく状況ですが、反政府の最大組織「高等交渉委員会(HNC)のスポークスマンであるサレム・アル・メスレット氏は「地域単位で停戦の話し合いをするのは実際的ではない」とし、「シリア全域にわたる停戦の話し合いをしなければならない」と、内戦終結に向けた努力を続けていく姿勢を表明しています。





<追記>
その後双方の合意はなし崩しの形になり、再び内戦は悪化していきました。9月12日に2度目の停戦合意がアメリカとロシアのあいだで結ばれるものの、これも15日に崩壊してアレッポでの戦闘が本格的に再開されます。





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