多国籍企業の租税回避を追究
フランスのミシェル・サパン財務相はグーグルやマクドナルドなどに対する課税逃れの家宅捜索を他の多国籍企業にまで範囲を広げ、税務状況の調査を「徹底的にやる」と宣言しています。
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今月に入ってフランス当局は18日にマクドナルド、24日にグーグルに対して不正な課税回避をした疑いで家宅捜索を行っています。
マクドナルドへの家宅捜査
18日にパリの西部にあるギュイヤンクールのマクドナルドの事務所を捜査し、書類やコンピューターを押収しています。マクドナルドはルクセンブルクやスイスを経由して資金を移し、フランス国内での課税を逃れたとして3億ユーロ(およそ368億円)の追徴課税をしたとされています。
グーグルへも調査
また、グーグルはヨーロッパの売り上げのほとんどをアイルランドで計上し、ふたたび各国の支社に払い戻している状態です。しかし、フランス政府はグーグルが広告契約をパリで交渉している事実に目をつけ、アイルランドで課税対象になっている資金はフランスで課税されるべきであると主張しています。それが認められれば10億ユーロ(およそ123億円)以上の滞納税金と罰金が科せられることになります。
グーグルはそれに対し、納税に対しては完璧にフランスの制度に従っており、フランス国内でも有数の納税をしているという過去の発言をそのまま繰り返しています。
多国籍企業との納税金額の「交渉は行わない」
サパン財務相は「徹底的にやる。まだ他にも出てくるはずだ」とコメント。また、今年1月にイギリスがグーグルに対して行った租税回避の対策は追加納税を滞納分220億を支払うことで合意していますが、サパン財務相は同じ方法は採らないと応えています。
つまり、租税回避をしている企業との交渉の余地はなく、取り締まりを厳しく行う意思を表明しています。
フランス政府は、先週だけで多国籍企業5社から2015年度分の対象となる滞納税と罰金で33億ユーロを徴収したと発表しています。
<追記>
12月29日にフランスの憲法会議は、政府が2017年度予算に盛り込んでいた「グーグル税」が財政措置として不適当であるという判断を下しました。グーグル税はインターネット関連の多国籍企業がある国で広告やネット上でのビジネスを行った場合、その国で納税する法人を通すように義務付ける制度でした。
しかし、法律や条約の違憲性を審査する憲法会議が不適当だと判断。政府はそれより前にグーグル税の導入を保留する決定をしていました。
参照
http://jp.reuters.com/article/google-tax-france-idJPKBN14J07J
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