イギリスのEU離脱にオーストラリアもニュージーランドも反対の声明

オーストラリアのターンブル首相「イギリスがEU内にいるからこそ受けられる恩恵がある」









イギリスのEU離脱(Brexit、Britain+exit)を問う国民投票まであと2ヵ月もなくなってきた中、同じエリザベス女王を元首に抱く、オーストラリアのマルコム・ターンブル首相はオーストラリアとしては「イギリスがヨーロッパの中で強い存在でであることがよろこばしい」という声明を発表しました。



オーストラリアやニュージーランドの国旗は今もイギリスのユニオンジャックが描かれていて、強い結びつきが維持されています。ターンブル首相はEU残留を望む発言をしながらも、6月23日に行われる国民投票の結果がどちらになろうとも両国の関係は"very very close"(実に親密な)ものになるだろうとし、「何を差し置いてもイギリスのためにする決断」だと、イギリスに対する気遣いを見せています。



それでも、イギリスはEUにとどまっていた方がオーストラリアにとっては「揺るぎない恩恵」があると考えているというメッセージを伝えています。ターンブル首相がオーストラリアのスカイ・ニュースで語ったことによると、イギリスがEUの中にいることで貿易や安全保障で得られるものが大きいとその理由について説明しています。







2週間前にはアメリカのオバマ大統領がイギリスはEU内にいた方が、その国力が増し、国際的な力も強くなると発言していて、イギリスとの協力関係が深い両国の首脳がEU残留を希望する発言をしています。




「手前勝手な言い分になるかもしれないが」と前置きをしつつ、ターンブル首相はEUという巨大な経済圏と政治集合体に自国と強い結びつきのある国(イギリス)がいてくれることは実に有利なことなのだと忌憚のない意見を述べています。


「だから、イギリス国民の方々が、ヨーロッパ連合にとどまるという決断をしていただけたら、私たちにとっては歓迎する結果となるでしょう」




ニュージーランドのハモンド外務長官「イギリス連邦の同盟国や協力国の不安や感情をあっさり片づけてしまうのは危うく傲慢なこと」















ターンブル首相の発言に続いて、ニュージーランドのジョン・キー政権も同調した声明を発表しています。キー首相は先月開かれたワシントンでの核安全保障サミットの際に「決定はイギリス国民にゆだねられたことではあるが、EUに属しているからこそ強いイギリスなのだと確信を持って言える」とコメントしています。



フィリップ・ハモンド外務長官はターンブル首相の発言を受けて、EU離脱運動はEUやイギリス連邦各国との関係を考えれば誤った選択肢であり、イギリスに対する国際社会の支持は「われわれ連邦国の国々が、イギリスはEUの成員として強く影響力を持っていると思っているというごくシンプルな事実」によって裏打ちされているとしました。





「両国首脳(ターンブル首相とキー首相)は国民投票がイギリスのために行うものだということは重々承知しているが、非常に多くの歴史と遺産を分かち合い、貿易や安全防衛の面でも緊密に活動してきた、どこよりも身近でどこよりも古い付き合いの同盟国や協力国の不安や感情をあっさり片づけてしまうのは危うく傲慢なことではないだろうか」とハモンド外務長官は投げかけています。





イギリス国内のEU離脱を訴える超党派の組織"Vote Leave"は「マルコム・タンブルはどちらの選択になろうともイギリスとオーストラリアは緊密な関係になると言っている。しかし、我々Vote Leaveがイギリスとオーストラリアのような国々と手を携えることができるのは、ブリュッセルの官僚たちから逃れて初めてその力を取り戻すことになるのだ」と、連携の強化にはEU離脱が欠かせないという立場を強調しています。







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