ヒズボラの司令官ムスタファ・バドレディン被告が死亡。素性の知られていない爆発物のスペシャリスト

               https://youtu.be/_ZqqOXinw0I より

バドレディン被告の葬儀には数千人の参列者




レバノンを拠点に活動するイスラム教シーア派の原理主義組織「ヒズボラ」の軍事部門の司令官を務めていたムスタファ・アミン・バドレディン被告が、シリアのダマスカスで殺害されたと同組織から声明が発表されました。5年以上も内戦が続いているシリアでバッシャール・アサド大統領をイランとともに支援してきた政権側の勢力として、ヒズボラの軍を率いてきたのがバドレディン被告でした。


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バドレディン被告が死亡したのはダマスカスの空港内で、近くで起きた爆発に巻き込まれたことによるものでした。空爆によるものなのかロケット砲によるものなのかは、近いうちに調査の結果で判明するだろうとヒズボラはコメントしています。







ハリーリー首相の暗殺容疑



2005年には当時レバノンの首相だったラフィク・ハリーリー氏をベイルートで暗殺した計画の首謀者として起訴されていバドレディン被告。そのベイルートで行われた葬儀には数千人もの人が彼の死を悼んで参列しています。




この記事の最上部にある写真はヒズボラが公開したバドレディン被告が軍服を着た最近の写真ですが、彼の死が発表されるまで若き日の白黒写真しか世間には知られていませんでした。それほど素性が知られていない人物で、エリアス・サーブやサミ・イッサといった数多くの偽名を使って活動を行っていました。




ハリーリー首相の暗殺だけでなく、1983年に起きたクウェートでのアメリカの大使館爆破事件にも関わったとされる爆発物のスペシャリストでもあったということです。1990年には一度クウェートで拘留され、死刑を宣告されたあと数年間刑務所での生活を送っていますが、イラクのサダム・フセイン大統領がクウェートに侵攻した際に解放された過去があります。







イスラエルの関与



55歳でこの世を去ったバドレディン被告ですが、彼の死にはイスラエルが関与しているのではないかと疑う人も少なくありません。葬儀の場でも参列者の中からイスラエルを誹謗する声が聞かれたという報道があります。



シリア内戦ではヒズボラはアサド政府軍を支援し、イスラエルは反政府軍を後押ししています。イスラエルの戦闘機によってヒズボラの兵士は少なくとも1600人以上が死亡しています。



少しさかのぼると、2006年に起きたイスラエルによるレバノンへの侵攻は、ヒズボラが国境を越えてイスラエル兵士を人質にしたことへの報復として行われたものでした。




バドレディン被告の死亡についても、当初レバノン国内のテレビ番組ではイスラエルによる空爆が原因だと報じていましたが、ヒズボラのHPではイスラエルの関与については今のところ言及していません。




しかし、シリア内戦はロシアやヒズボラ、イランなどが支援する政府軍と、アメリカやイスラエル、サウジアラビアが支援する反政府軍、そしてISやアル・ヌスラ戦線(⇒現在はシリア征服戦線に改名)などの第3勢力が各地で混在する状況になっています。政府軍とともに戦っているヒズボラの司令官であるバドレディン被告を狙う国や組織はさまざまに想定されます。(⇒ロシア空軍がイラク基地を使用。両国が接近






アメリカは殺害を否定




反政府軍を支援しているアメリカですが、ジョシュ・アーネスト報道官はバドレディン被告が殺害された時刻にはアメリカ空軍の航空機は飛行していないという発表を行い、殺害への関連を否定しています。(⇒反政府軍が化学兵器の使用をロシアが確認





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