米FRB実質ゼロ金利政策実施へ

新型コロナウイルスによる市場の動揺を抑えるための緊急利下げ



米連邦準備制度理事会 (FRB) は2月15日に、拡大する新型コロナウイルスCocid-19の影響による経済危機に対応するために市場介入措置を決定した。


FRBは基準金利をゼロ近辺までに引き下げると発表し、深刻な景気減速を回避するため、量的緩和策として米国債と住宅ローン担保証券 (MBS) を7000億ドル買い入れも行う。FRBは、政策金利を実質的に0%に引き下げ。米国の政策金利は1~1.25%から0~0.25%に引き下げられる。これほど大々的な措置は2008年のリーマンショック以来のこととなる。超低金利は、米国経済がコロナウイルス不況から回復するまで続くとみられる。


また、FRBは全米の銀行に対する融資を広く実施。経営を立て直し、緊急の資金繰りを必要としている中小企業や家族に各銀行が融資を行えるような状態を整えている。さらに潜在的な世界経済危機を回避するため、イングランド銀行 (中央銀行) や欧州中央銀行 (ECB) などと協力して海外市場の混乱を収拾するとの声明を出している。


引き続き、公衆衛生に関連する情報や世界動向や弱いインフレ圧力が経済見通しに与える影響を監視し、FRBとして取れる手段を用いて、経済支援を適切に実施するとしている。

金融政策のスタンスに対して先々に行う調整のタイミングと規模を決定する際に、FRBは、最大雇用目標や対称的なインフレ目標を2%ととすることについて、経済状況を評価する。この評価では、労働市場の状況、インフレ圧力とインフレ期待の指標、金融および国際情勢の指標など、幅広い情報が考慮される。


FRBは、大量の資金投入するこうした対策だけでは不十分であり、今後さらに対策を講じなければならなくなる可能性もあるとコメント。しかし、さらなる債券買い入れや、金利を引き下げるための実験的な措置を講じたりするケースは考えられるが、具体的にどのような金融政策を取るのかは不明である。


また、トランプ大統領は、金利をマイナスにするようFRBに求めている。アメリカではマイナス金利の前例がない。欧州と日本はマイナス金利を試みているが、その効果はまちまちだ。


11日にWHOは新型コロナウイルスが世界的な流行(パンデミック)の状態にあるという見解を発表。世界中で各種のイベントが中止や施設の閉鎖、移動の制限が実施され、経済的な冷え込みが前例のないスピードで進んでいる。


アメリカでは、AT&T、フォード、ゼネラルモーターズといった大企業ではすでに在宅勤務に移行しており、観光・レジャー産業は大きな打撃を受けている。大企業も中小企業も売り上げが大幅に減少していおり、米国内ではすでに一時的な解雇のレイオフが始まっている。ダウ・ジョーンズ工業株30種平均は、米株式市場史上最大となる20%の急落後も下げ幅を維持し、1から1.25%の範囲で25%まで下落した。




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