ロシアゲートのポイントをわかりやすく解説
ドナルド・トランプ氏が大統領選挙に立候補を表明した2015年6月からわずか3ヵ月後にすでに持ち上がっていた「ロシア疑惑(英語でRussia-gate、ロシアゲート)」。
フェイクニュースの流布など混乱が絶えなかった選挙戦も2016年11月に激戦の末、共和党候補のトランプ氏が民主党のヒラリー・クリントン氏を破って大統領の就任が決定しました。しかし、次第にロシア疑惑は現実味を帯び始め、アメリカという超大国を揺るがす状況となっています。
トランプ陣営、民主党、そしてロシアという3つのグループを軸にロシア疑惑を読み解いていきましょう。
「ロシア疑惑」とは何なのか
ロシア疑惑とは何か、簡単に言うと、
2016年に実施された、アメリカの大統領選挙にロシアが介入してトランプ氏が勝つように工作をした、のではないか?
という疑惑です。
ある国の大統領を決める選挙に他の国が関わって、それが実際に成功してしまったのかもしれないわけですからこれは大変な問題です。
でも、もちろんロシアは一貫して否定しています。
プーチン大統領、米の「ロシア疑惑」を全面否定 https://t.co/qzzHBkn3l8 pic.twitter.com/GH5JPkVh0K— 産経ニュース (@Sankei_news) 2017年6月5日
トランプ大統領も当初は「フェイクニュースだ」と主張していましたが、複数の情報機関が調査の結果、ロシアの画策があったと結論づけています。
トランプ大統領が就任する前の月の2015年12月9日、当時のオバマ大統領がおよそ30人のロシア人情報工作員を国外追放にしています。
そして2018年2月16日には大陪審が大統領選への干渉の罪でロシア国籍の13人と、ロシア関連の3団体を起訴。「プロジェクト・ラフタ(Project Lakhta)」と呼ばれる大規模な選挙介入プロジェクトに関わったとされています。このプロジェクトは2014年5月には活動をすでに開始していました。
そして2018年2月16日には大陪審が大統領選への干渉の罪でロシア国籍の13人と、ロシア関連の3団体を起訴。「プロジェクト・ラフタ(Project Lakhta)」と呼ばれる大規模な選挙介入プロジェクトに関わったとされています。このプロジェクトは2014年5月には活動をすでに開始していました。
どのようにロシアは介入したのか?
アメリカほどの国の大統領選挙に介入するなど簡単なことではないように思えますが、ロシアは主に2つの方法を取ったと考えられています。
それはハッキングとSNSの利用です。
クリントン候補にとって不利となるような内容を含むものもあったそれらのメールは内部告発サイト「ウィキリークス」に渡り、公けとなったと国家情報長官が報告をしています。また、これらはロシアの参謀本部情報総局(GRU)が主導したものであるということです。
選挙キャンペーンまっただなかにメールの流出によって、クリントン氏が国務長官時代に公務の内容を私用のメールアカウントで行っていたことがわかり、国家情報の管理能力に疑問があるとして支持率を大きく下げる要因となりました。
それはハッキングとSNSの利用です。
ハッキング
オバマ大統領が退任直前に30人ちかいロシア人を国外追放にしたのは、彼らがアメリカ国内でのハッキング活動をしていたという理由でした。ロシアは民主党全国委員会(DNC)のコンピューターに侵入。そして数万通のメールを入手したということです。クリントン候補にとって不利となるような内容を含むものもあったそれらのメールは内部告発サイト「ウィキリークス」に渡り、公けとなったと国家情報長官が報告をしています。また、これらはロシアの参謀本部情報総局(GRU)が主導したものであるということです。
選挙キャンペーンまっただなかにメールの流出によって、クリントン氏が国務長官時代に公務の内容を私用のメールアカウントで行っていたことがわかり、国家情報の管理能力に疑問があるとして支持率を大きく下げる要因となりました。
SNS
大陪審によって起訴されたロシア人や団体は架空の人物になりすまし、ソーシャル・メディアでニュースを拡散させたり、トランプ氏を応援しクリントン氏を非難するネット広告を作成、購入、拡散したということです。また、特にアメリカ国内でニュースになったのはフェイスブックで、その影響は選挙戦のあいだにも議論となっていました。創設者マーク・ザッカーバーグ氏は影響があったことを否定していましたが、1億2600万人にロシア政府系企業の発信した約8万件の投稿が届いたことが判明しています。それらはアメリカ社会の分断を狙うような内容で政治的対立をあおるものだったということです。
現在、フェイスブック社はファクトチェックの機能を備え、ロシア疑惑に関連すると思われるアカウントとページをすべて削除しています。
こうした事例はYouTubeで1000本以上の動画、ツイッターで2752個のアカウント作成が確認されています。
誰が、何のために、どのように関わったのか?
ロシアは否定していますが、どうやらその関与は間違いないようですが、この工作にトランプ陣営が関わっているのかというのが問題になってきます。トランプ大統領が主張する通りロシアによる単独の計画であった場合、それはロシアがアメリカ選挙の混乱させ、社会的な分断や対立を画策する目的でだったと考えられます。
しかし、トランプ陣営が関わっていた場合、候補者が他国の協力を得て、不正な方法で大統領選挙に勝利したことになります。
もちろん疑惑の中心にいる2人の人物はアメリカのトランプ大統領とロシアのプーチン大統領ですが、両者とも関与を否定(プーチン大統領は画策そのものを否定していますが)。
それでもロバート・モラー特別検察官が指揮するFBIの捜査や各メディアの調査によって、双方で以下の人物が対等稜線前後に接触していることがわかっています。選挙そのものの正当性に疑問を投げかけ、トランプ政権に揺さぶりをかけたい民主党はFBI、もらー特別検察官に協力してロシアとトランプ陣営のつながりを明らかにしようとしています。
トランプ陣営
ロシア側
同紙によるとベセルニツカヤ氏がトランプ陣営に対し、クリントン氏にとって不利な情報が提供できると持ちかけたとしています。
しかし、トランプ・ジュニア氏はこれに反論。2012年にアメリカがロシアの人権侵害を理由にロシア政府幹部の資産凍結などを決定した「マニツキー法」について話をしたと主張しています。ベセルニツカヤ氏はマニツキー法の撤回を求める運動をしている人物で、自分はロシア政府と関係もなく大統領選についても話をしていないとしています。
なおマナフォート氏は資金洗浄や共謀などの罪で起訴されています。
そしてロシア疑惑の本丸だと見られているのが、フリン前大統領補佐官(偽証罪で訴追。罪を認めている)とキスリャク駐米大使のつながりです。たびたび接触があった2人のあいだでは、ずっと続いているアメリカのロシアに対する経済制裁の解除が話し合われていたのではないかと言われ、これこそがプーチン大統領の一番の目的だと考えられます。
フリン前大統領補佐官は経済制裁についての話はしていないと否定していますが、捜査を進めていたコミー前FBI長官はトランプ大統領によって解任されています。これがトランプ大統領による捜査の妨害だったのではないかと、新たな疑惑を呼んでいます。
コミー前FBI長官は2017年6月8日に議会の公聴会で証言をし、当時トランプ大統領から忠誠を誓うよう求められ、「捜査をやめるよう大統領から指示された」という認識を示しました。もし大統領がFBIの捜査に圧力をかけたことが立証された場合、司法妨害という違法行為を行ったことになります。
トランプ大統領はコミー氏が宣誓をしたにもかかわらず偽証をしたとし、またFBIの捜査が「強硬な民主党支持者」による偏ったものだと反論しています。確かに民主党側が積極的にロシア疑惑の追及を進めているのは確かで、この問題が大きく取り上げられるようになった一因である「スティールメモ」(イギリス情報部国外部門(MI6)元職員のクリストファー・スティール氏がトランプ陣営とロシアの関係についてまとめた文書)も民主党議員からもたらされています。
これに対してトランプ大統領は機密文書である、下院情報特別委員会デビン・ニューネス委員長が中心となってスティールメモの信ぴょう性を疑問視する「ニューヌスメモ」の情報公開に踏み切ります。スティール氏が反トランプ派の人物であったことを示す内容で、政治的に偏った立場であることを示す文書でした。
ロシア疑惑への関与および司法妨害という切り口で徐々にトランプ大統領を追い詰めようとする民主党と、一貫してどちらも行っていないと主張し民主党は政治の道具としてFBIの捜査を利用していると非難するトランプ大統領。モラー特別検察官の捜査が今後も注目です。
それでもロバート・モラー特別検察官が指揮するFBIの捜査や各メディアの調査によって、双方で以下の人物が対等稜線前後に接触していることがわかっています。選挙そのものの正当性に疑問を投げかけ、トランプ政権に揺さぶりをかけたい民主党はFBI、もらー特別検察官に協力してロシアとトランプ陣営のつながりを明らかにしようとしています。
トランプ陣営
- マイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)
- ドナルド・トランプ・ジュニア氏(トランプ大統領の長男)
- ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問(トランプ大統領の大統領の娘婿)
- ポール・マナフォート氏(選対本部長を一時務める)
ロシア側
- セルゲイ・キスリャク駐米大使
- ナタリア・ベセルニツカヤ氏(弁護士。ロシア政府と関係があるとされる)
トランプ・ジュニア氏、クシュナー大統領上級顧問、マナフォード氏の3人は、トランプ氏が共和党指名候補に決定した2週間後の2016年6月9日にベセルニツカヤ氏とトランプタワーで面会していたとニューヨーク・タイムズが報じています。
同紙によるとベセルニツカヤ氏がトランプ陣営に対し、クリントン氏にとって不利な情報が提供できると持ちかけたとしています。
しかし、トランプ・ジュニア氏はこれに反論。2012年にアメリカがロシアの人権侵害を理由にロシア政府幹部の資産凍結などを決定した「マニツキー法」について話をしたと主張しています。ベセルニツカヤ氏はマニツキー法の撤回を求める運動をしている人物で、自分はロシア政府と関係もなく大統領選についても話をしていないとしています。
なおマナフォート氏は資金洗浄や共謀などの罪で起訴されています。
そしてロシア疑惑の本丸だと見られているのが、フリン前大統領補佐官(偽証罪で訴追。罪を認めている)とキスリャク駐米大使のつながりです。たびたび接触があった2人のあいだでは、ずっと続いているアメリカのロシアに対する経済制裁の解除が話し合われていたのではないかと言われ、これこそがプーチン大統領の一番の目的だと考えられます。
フリン前大統領補佐官は経済制裁についての話はしていないと否定していますが、捜査を進めていたコミー前FBI長官はトランプ大統領によって解任されています。これがトランプ大統領による捜査の妨害だったのではないかと、新たな疑惑を呼んでいます。
コミー前FBI長官は2017年6月8日に議会の公聴会で証言をし、当時トランプ大統領から忠誠を誓うよう求められ、「捜査をやめるよう大統領から指示された」という認識を示しました。もし大統領がFBIの捜査に圧力をかけたことが立証された場合、司法妨害という違法行為を行ったことになります。
トランプ大統領はコミー氏が宣誓をしたにもかかわらず偽証をしたとし、またFBIの捜査が「強硬な民主党支持者」による偏ったものだと反論しています。確かに民主党側が積極的にロシア疑惑の追及を進めているのは確かで、この問題が大きく取り上げられるようになった一因である「スティールメモ」(イギリス情報部国外部門(MI6)元職員のクリストファー・スティール氏がトランプ陣営とロシアの関係についてまとめた文書)も民主党議員からもたらされています。
これに対してトランプ大統領は機密文書である、下院情報特別委員会デビン・ニューネス委員長が中心となってスティールメモの信ぴょう性を疑問視する「ニューヌスメモ」の情報公開に踏み切ります。スティール氏が反トランプ派の人物であったことを示す内容で、政治的に偏った立場であることを示す文書でした。
ロシア疑惑への関与および司法妨害という切り口で徐々にトランプ大統領を追い詰めようとする民主党と、一貫してどちらも行っていないと主張し民主党は政治の道具としてFBIの捜査を利用していると非難するトランプ大統領。モラー特別検察官の捜査が今後も注目です。
参照
https://www.cfr.org/backgrounder/russia-trump-and-2016-us-election
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-russia-indictment-idJPKCN1G0254
http://www.bbc.com/japanese/40565347