ICCで初となる文化遺産破壊の裁判が開廷。マリのトンブクトゥを破壊した罪で

アフマド・アル・マハディ容疑者
                                    https://youtu.be/p1O0LsVvAek

マリ内戦時代にトンブクトゥを破壊したアンサール・ディーンの元隊長




8月21日にオランダのハーグで開かれた国際刑事裁判所(ICC)の法廷で、2012年にマリの古代都市「トンブクトゥ」を破壊した罪で起訴されているアフマド・アル・マハディ容疑者(40)が容疑を認めています。




国際刑事裁判で初めてのケース




ハーグの国際刑事裁判で文化遺産を破壊した罪を裁定する裁判はこれが初めてとなり、その法廷に立ち、罪を認めた者としてマハディ容疑者が初めての容疑者となります。





「本当に、心から反省しています。自分が被害を残してしまったことを後悔しています。世界のムスリムに1つだけ忠告したい。私がしでかしてしまったようなことを繰り返してはいけない。人のためになるようなことは何一つ残らない」





元教師だったマハディ容疑者はアル・カイダの支援を受けていた反政府軍のイスラム過激派組織「アンサール・ディーン」に数ヶ月所属し、2012年に当時支配下に置いていたマリ北部にあるトンブクトゥにある9つの聖廟とモスク1つを破壊しています。





偶像崇拝を認めないイスラム教の教えにトンブクトゥの聖廟などが反するとして破壊したものでした。







イスラム原理主義であるトゥアレグはイスラム教の法「シャリア」を厳守することを求め、音楽は禁止し、女子が学校に通うのも許さず、女性にはブルカの着用を強制していました。




マハディ容疑者はトンブクトゥ周辺で兵の募集を行い、一部隊を率いる立場でジハードの名の元にマリ政府と戦闘を続けていました。その後、ICCが逮捕状を出したことからニジェール政府によって身柄が拘束され、ハーグへと引き渡されたのでした。




最高で30年の懲役刑が求刑可能ですが、検察はマハディ容疑者に対して9~11年の懲役を求刑しています。



マハディ容疑者はこれについて「自分にとりついていた悪霊を清めることに(刑務所中での)時間を使おうと思う」と述べています。





トンブクトゥは13世紀から17世紀にかけてマリのイスラム文化の中心地として栄えた都市で、1988年にユネスコの世界遺産に登録されています。図書館などに所蔵されていた70万点にのぼる資料は幸運にも戦禍を逃れることができました。(⇒宿泊できる世界遺産の数々


破壊されたトンブクトゥの遺跡の一部



<追記>
9月27日にICCの判決が下り、マハディ容疑者の有罪が認められて禁固9年の実刑が言い渡されました。






参照


https://www.theguardian.com/world/2016/aug/22/islamic-extremist-pleads-guilty-at-icc-to-timbuktu-cultural-destruction
http://jp.reuters.com/article/tk0797250-mali-timbuktu-unesco-idJPTYE84603B20120507
http://www.bbc.com/news/world-africa-37152191
http://www.afpbb.com/articles/-/3102344



こんな記事も読まれています

Social