共和党全国党大会の会場外で配られた、薬そっくりの「イスラムフォビン」

イスラムフォビン
                                   https://youtu.be/_s57kPS_gjM

正式に指名される共和党支持者に向けたイスラム教団体のメッセージ




7月18日午後、アメリカ・オハイオ州クリーブランドで8年ぶりの政権奪取を目指す共和党の全国党大会が開かれました。



候補者指名争いで過半数の代議員を獲得したドナルド・トランプ氏(70)が大統領候補として正式に指名されることになります。TPP交渉からの撤退やメキシコとの国境沿いに壁を設置する、などトランプ氏の掲げた政策綱領が採択されました。また、正式指名を阻止しようとする代議員によって一時議事の進行が中断する一幕もありました。




全国党大会の会場の外では、反トランプ派の人たちが集まり、抗議の声を上げていますが、その中で医療用の薬のような箱を配るグループがいました。







パッケージには「ISLAMOPHOBIN」(イスラムフォビン)という名前が書かれています。




これは実在の薬剤ではなく、イスラム関係評議会協会(CAIR)が配布しているもので、中身はガムが入っています。




イスラムフォビアとは




アメリカだけでなく、ヨーロッパ諸国でも見られる"islamphobia"(イスラムフォビア、イスラム恐怖症)は、イスラム教やムスリムの人たちに不安や恐怖心を覚えることを指す言葉です。欧米諸国内でのイスラム教徒と各国の文化との衝突は今も多く見られます。





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アメリカでも9・11の同時多発テロ事件以降、イスラムフォビアが浸透し、最近もISの台頭などでアラブの民族衣装のカンドゥーラやグトラを身につけているだけでISの工作員だと勘違いされる事件も起きています。





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そういった市民の感情をくみ取ったトランプ氏はイスラム教徒の入国禁止を発言し大きな波紋が広がりました。




5月にロンドン市長に就任したイスラム教徒のサディク・カーン氏は、トランプ氏が大統領に就任したら渡米できないのかと懸念を表明したのを受けて、「一時的な措置」「提案に過ぎない」などいくらか軟化した姿勢を見せていますが、国内のムスリムにとってはやはりトランプ氏の動向は気になるところです。






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イスラムフォビアの治療薬「イスラムフォビン」で平和共存を訴える






CAIRの人たちがトランプ支持者などに配っていた「イスラムフォビン」は、イスラムフォビアを治す薬に見立てたもの。パッケージには「慢性的なイスラムフォビアの諸症状に効く」「注意:平和的共存状態になることがあります」などのユーモラスあふれる言葉がちりばめられています。









CAIRのニハド・アワド事務局長は、裁判所ではなく、共和党支持者がムスリム有権者にとって大きな意味を持ってくると訴えかけました。




イスラムフォビンはAmazon.comで購入可能





イスラムフォビンはもともとスウェーデンのイスラム教徒が考え出したもので、アワド事務局長が製品としてつくる許可をもらったもの。中身は無糖のガムが12個入っていて、販売も行っていて1ドル99セントでAmazon.comから購入可能です。








パッケージには他にも、



「宗教について多様性、寛容性、相互理解の信条をすでに持っている方は服用しないでください」


「イスラム教、移民、難民に対して温かな気持ちが広がってきたら、服用をやめてください」


などの言葉が書かれています。


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参照

http://www.reuters.com/article/us-usa-election-muslims-idUSKCN0ZY2C1?il=0
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160719/k10010600441000.html
http://www.bbc.com/japanese/36273223



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