OPECが2017年世界の原油需給見通し発表。ブレグジットの影響も


2017年の原油は需要が供給を上回るも、ブレグジットの影響あり



7月12日に石油輸出国機構(OPEC)は、2017年の世界における原油の需要が現行の生産量を上回り、原油価格の上昇を抑えている余剰石油の在庫も減少するという見通しを発表しました。





今回の月次報告では、2017年の世界の石油需要増加量は1日当たり115万バレルになると見られ、2016年の119万バレルの比較するといくらか増加の傾向が鈍くなっています。




低迷する原油価格が来年には回復をするだろうという明るいニュースの一方で、イギリスのEU離脱により世界経済の成長が鈍化するという予測もしていて、原油の需要も影響を受けていくらか低調になるかもしれないということです。





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イギリスのEU離脱が原因で2016年の世界経済のは先行きが不透明になり、成長率は3.0%から3.1%に下方修正されるだろうとOPECは予測しています。




原油価格も持ち直していくか




ブレグジット決定後の波は株価の下落やポンド安といった形ですでに表れていますが、原油価格も6月上旬には1バレル53ドルだったのが、下旬には47ドルまで下落しています。





しかし、原油価格の低迷そのものは、アメリカがシェールガスの供給に対抗する形でOPECが産油量の調節を行い、価格の下支えを行わなくなったところから始まっているので、すでに2年近くが経っています。




また、今年2月にOPECのサウジアラビアやベネズエラ、カタールと非OPECのロシアが増産の凍結に向けた話し合いを行い、原油価格の下落に歯止めをかける動きもありましたが、経済制裁が解かれたばかりのイランがこれに同調せず、サウジアラビアが離脱してしまうなどなかなか産油国の中で足並みがそろわない場面もありました。





参考記事:原油の増産凍結に影を落とすイラの特別な立場




2月の時点で原油の価格は1バレルあたり26ドルにまで下がり、石油の生産が経済を支えている国や地域では大きな打撃を受けています。




参考記事







6月のOPEC内産出量1位は不動のサウジアラビアだが、増加量ではナイジェリア





6月のOPEC産油量は加盟国に復活したアフリカのガボンを加えて、1日当たり3286バレルで26万4000バレル増加しています。これは2017年に3298バレル供給が需要を下回るという予測から、原油をいまから産出しておこうという動きです。(⇒ガボン大統領選挙が紛糾





2016年は1日当たり100万バレルの供給余剰の状態となっていますが、第3四半期には需要が逆転するだろうと見られています。




OPEC加盟国の中で6月にもっとも生産量を増加させたのはナイジェリアでした。ナイジェリアでは先月に石油設備を反政府軍が攻撃するという事態があったため、5月は石油の生産量がかなり落ち込んでいたため、それを取り戻すために生産量を増やしています。




イランは1日当たり3600万バレルをやや越えるくらいで、5月よりも7万8000バレル増産しています。




<追記>

11月28日にOPECは加盟14ヵ国の原油生産を8月時点で日量3324万バレルだったものを3250万~3300万バレルに抑えることで合意しました。




減産は2008年の金融危機以来8年ぶりとなります。結局イランの増産にサウジアラビアが譲歩する形となり、国内の情勢が影響して産出量が低水準にあるリビアやナイジェリアについてもこれから減産するのは難しいことからサウジアラビアがその分を負担することになりそうです。(⇒ボコ・ハラムの影響でナイジェリア北部で飢饉



参照

http://www.reuters.com/article/us-opec-oil-report-idUSKCN0ZS19Z?il=0
http://money.cnn.com/2016/07/12/news/opec-oil-production-june/
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM29H0I_Z20C16A9MM0000/



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