経営不振の「解決策を見つけたい」
カナダ政府は11日、経営不振に苦しんでいる自国の重工業大手のボンバルディア社の「解決策を見つける」援助をするために10億ドル(およそ1070億円)の公的資金を投入するつもりであると発表しました。
小型航空機の生産で世界的に有名なボンバルディアは客席数が50~100席クラスのジェット機を世に出してきましたが、ブラジルのエンブラエルや日本の三菱航空機などの競合他社との争いが激しくなっています。
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カナダ政府の期待を背負う「Cシリーズ」
そんななか新たに開発している「Cシリーズ」の開発がかさみ、これ以上開発費の投入が難しい状況になっていたため、かねてからトルドー首相がほのめかしていた政府による支援が現実のものになったことになります。
More about the Bombardier C-Serieshttps://t.co/mHjzsHWhcP— Plan Maestro (@PlanMaestro) 2016年6月8日
Cシリーズは100~160席クラスでこれまでよりもやや大型のジェット機になるのですが、受注が目標の数に届いていないことや40機を発注したアメリカのリパブリック・エアウェイズ・ホールディングス社が2月に経営破たんしていることから契約が履行されるか危ぶまれています。
トルドー首相が「最高の製品」と自信を持って世界に送り出す思いを持っているCシリーズですが、一方でボンバルディア社の株式構造の問題が指摘されています。
ボンバルディアは2種類の異なる株式を併用する「デュアル・クラス・シェア」という構造を取っています。この構造によって保有する株式の割合は少なくても創業者のボンバルディア家と、ボードワン家を中心とした一族の意向が反映されやすい形になっており、政府の資金が投入されても経営構造の改革にはつながらないのではないかとも言われています。
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「議論の余地がある」とはしながらも、イノベーション大臣のナブディープ・ベインズ氏はカナダ政府としては積極的に解決策の支援をするとコメントしていて、Cシリーズに国家として大きな期待をかけていることがわかります。
Cシリーズは数十億ドルの予算がかけられていて、ボンバルディア社が拠点を置くケベック州もすでに10億ドルの投資を行っています。
5月2日にはデルタ航空がCS100を125機の発注を行い、2018年の春からデルタ航空機として飛ぶ予定となっています。アラン・ベルマーレ最高経営責任者は560億ドルにものぼると言われているこの発注がボンバルディアの経営にとって転機になるはずだと考えています。
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参照
http://www.reuters.com/article/us-bombardier-canada-idUSKCN0YY02X?il=0
http://www.sankeibiz.jp/business/news/160311/bsk1603110500004-n1.htm
http://news.mynavi.jp/news/2016/05/08/005/
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