ワーク・ライフ・バランスに配慮した労働環境を目指すスペイン
スペインのマリアーノ・ラホイ首相はこれまで70年近く続いてきた7時以降までの労働を止め、6時までに切り上げる働き方を提案しています。スペインでは1日の労働を「jornadas partidas」(分割勤務)という2部制で行っています。最初の仕事は朝8時から昼の13時まで。そして、昼食や昼寝(シエスタ)の昼休みを挟んで17時から20時くらいまでまた働きます。
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「我々は、多くの人が日常の労働時間を18時までに終わらせられるようにする合意文書にサインするつもりである。合理的な労働時間を実現する会社や、フレックスタイム制を導入してワーク・ライフ・バランスが取れている会社にはその労働環境の質の高さを保証する賞を授与する予定である」とラホイ首相は発表しています。
過去記事:組閣できないスペインの事情。再選挙の可能性が強まる
ラホイ首相は就業時間を早めることで、女性も男性と同じように働ける環境を実現しようと考えているようです。男性も女性も家族と過ごす時間を増やせるようにし、家庭を持ちながらも働ける合理的な労働時間を目指しています。スペインの失業率は22%を超えていて、労働者の方から企業に対して労働環境の改善を求めるのが難しい状況だけに、ラホイ首相の提言によって安心して家庭が築けるようになるのではないかと期待されています。
スペインの出生率は1.32%で、EU圏内の平均出生率は1.58%。平均よりも0.5%以上も低い数字になっています。スペイン国内の経済状況があまりよくないこともその理由のひとつかもしれませんが、日々の生活に余裕がないという国民の実感があるようで、そうした状況を改善する目的として今回の政策を打ち出したのでしょう。
伝統のシエスタはどうなる?
「jornadas partidas」の見直しでBBCなど各国メディアが注目したのが、昼食の後のシエスタでした。スペインの伝統ともいえるこのお昼寝文化が、今回のラホイ首相の政策によって日常からなくなってしまうのではないかという心配(?)でした。
ラホイ首相は「合理的な労働時間」を目指し、家庭での時間が今より長く持てるようにしようと考えていますが、シエスタの廃止までは言及していません。しかし、実は大企業や中規模の会社はすでにこのシエスタは姿を消しています。
それでも個人商店や農業に従事している人は今もシエスタを含めた働き方をしています。長い昼食の後、スペインの人たちは、店のバックヤードにあるソファを使ったり、家に帰ったり、カフェやレストランなどに行ったりして昼寝をして午後の仕事にまたむかいます。
「シエスタ」とはもともとラテン語の「hora sexta(6時)」から来た言葉で、ローマ人にとっての1日のちょうど真ん中を指していました。昼食後の昼寝はスペインだけではなく、イタリアやポルトガル、ギリシャでも見られ、地中海沿岸の国々が日中のもっとも暑い時間を避けるために日陰で過ごすのですが、現代になってやはりシエスタのような生活習慣は廃れてきているところが増えているようです。
昼寝が健康に良いという研究結果があり、ちょっとしたシエスタをすることで仕事の効率が上がるとも言われています。スペインで何百年も続くシエスタはそうそうすぐに消えてしまうものではなさそうですし、ラホイ首相の提言もシエスタそのものをなくそうという政策ではありませんが、徐々に見ることが少なくなるのかもしれません。
スペインのグリニッジ標準時の見直し
また、今回のラホイ首相の発表では、現在スペインが属しているグリニッジ標準時間(GMT)のタイムゾーンの見直しも含まれていました。スペインは1942に時のフランコ政権がドイツのヒトラー政権に同調する意味でドイツと同じタイムゾーンに入ることを決めました。その結果、今もスペインの時計は「中央ヨーロッパ時間」を指しています。
しかし、スペインのあるイベリア半島の位置としては、イギリスのロンドンやシエラレオネのフリータウンと同じタイムゾーン。ラホイ首相はフランコ政権が進めてしまった時間を、それ以前のもともとの時間帯に戻そうというものです。
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青:グリニッジ標準時(西ヨーロッパ時間)、赤:中央ヨーロッパ時間、黄:東ヨーロッパ時間、緑:モスクワ時間
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