"Simplify your life"(生活をもっとシンプルに)の理念の下にサービスの充実を目指すDropbox
写真やドキュメントなどをクラウドに保存しておけるサービスを提供している「Dropbox」が3月14日(現地時間)に、これまでAmazon.comのクラウドサービスであるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)に保存していたユーザーのファイルデータの90%以上を自社で構築したインフラに移行したことを発表しました。同社のブログ(英語)にその内容が掲載されています。
Dropboxはユーザー情報などのメタデータについては以前から自社で管理を行っていましたが、ユーザーが保存したファイルデータはAWSに保存していたのです。そうしたファイルを自社で構築したストレージにほとんど移し替えたという発表でした。
クラウドサービス業界でさらなる存在感を見せるDropbox
サービスや機能が多様になり、Google DriveやAmazon Cloud drive、iCloudなどを始めとして競争が激しくなっているクラウドサービス界。
そんな中、"Simplify your life"という理念を掲げて簡単な操作でクラウドへの保存などができる特徴を持ったサービスがDropboxです。
登録ユーザーの数は5億人に達し、保存された情報量は500ペタバイトに上ります。ペタバイトという単位になるともう想像がつかない量になりますが、同社のジェームス・コーリング氏によると、有史以来から現代までの人類の情報量を集めると50ペタバイトになるとのこと。つまり現代までの歴史を10回分がDropboxのクラウドサービスに保存されていることになります(画像や音声、動画などがなかった時代がほとんどですが)。
今回の自社ストレージへの移行により、独自にブロックストレージを作るなどのカスタマイズが可能になりますが、その一方で保存しているデータが多くなり、管理の負担が増大します。それだけ自社で構築したストレージに自信があるからなのでしょう。
Dropbox社ストレージの構築についての動画(英語)↓
期待されるサービスの向上。自立することでのリスク
Dropboxの特長はソフトをインストールすればパソコンでもスマートホンでもタブレットでも、複数のデヴァイスで使用できる点にもあります。日常生活において簡単に写真などをすぐに保存でき、しかもそれぞれのデヴァイスで自動同期されます。
そうした使い勝手の良さの一方で、
- 無料使用の容量上限が2GBまでしかない(Amazon Cloud driveは5GB,Google Driveは15GB)
- 回線が遅いときがある
- それぞれのPCやスマートホンでインストールしないといけない
- 権限管理がフォルダごとにしかできない
といった短所があります。
自社ストレージに移行することで、ハードウェアやソフトウェアのカスタマイズが可能になるのでこうした欠点がこれから改善される可能性があります。
しかし、自社で管理を行うということはそれに伴うリスクもあります。情報をクラウドサービスに預ける側のユーザーとしては安全性をなにより気にするはずです。特に自動同期の機能があるDropboxではどこかでデータが消えた場合、他のデヴァイスでも消去が同期されます。情報の流出などについてもこれまで以上にDropboxは責任を負うことになります。
また、今回の移行でコストの削減が期待できる反面、これから独自サービスを行っていくDropboxが十分な顧客のニーズに応えられなかった場合にはビジネスとして行き詰ってしまう可能性もあります。
そうしたリスクを抱えているものの、独自の路線を歩みだしているDropboxは今後私たちの生活をどのようにシンプルなものにしてくれるのでしょうか。
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