トニー賞獲得も確実か、ミュージカル『Hamilton ハミルトン』の力は州議会にまで波及。

ハミルトン ミュージカル オバマ大統領


アメリカ建国の立役者を主役にしたヒップホップミュージカル


およそ1年前のオフブロードウェイからすでに圧倒的な高評価を受けていた『ハミルトン』は、ミュージカル・シアターアルバム賞を受賞したグラミー賞で衛星生中継されるなど、ブロードウェイを今もっとも熱くしているミュージカルと言えるでしょう。


オバマ大統領も上演からすでに2回観劇しているミュージカル『ハミルトン』について紹介します。



この数年の中で最高のミュージカルと称賛される『ハミルトン』


ミュージカルの主役はアメリカ建国の父の1人であるアレクサンダー・ハミルトンです。


現在の10ドル札紙幣に使用されているのがハミルトンの肖像画です(2020年には別の人物に刷新される予定)。ヨーロッパからではなくカリブ諸島からの孤児の移民としてやって来たハミルトンは商売や文章の才能を発揮して次々と出世をし、アメリカ独立戦争のときにはジョージ・ワシントンの信任を得て彼の副官を務めます。



アメリカ独立宣言の起草者の1人としても参画し、初代財務長官になった人物でした。しかし同時代を生きたジョン・アダムスやトマス・ジェファーソンのように大統領になることはなく、政敵になってしまったアーロン・バーとの決闘で命を落としてしまいます。


と、このように教科書のような説明をするとどうしても堅苦しくなってしまうのが歴史のやっかいなところですが、『ハミルトン』はそれを大きく覆す演出になっています。








ミュージカル『ハミルトン』の脚本・作曲・作詞、さらには主演までしているのがリン・マニュエル・ミランダさん。まだ35歳という天才はすでにラテン系移民の日常を描いた『イン・ザ・ハイツ』で2008年にトニー賞の主要4部門を受賞しています。




歴史ものでありながらヒップホップミュージックを取り入れた斬新さもさることながら、移民の出でありながらも情熱を持った生き方で人生を切り開くハミルトンの姿に、現代のアメリカ人も共感するところが多いようです。




移民問題はアメリカのみならずヨーロッパでも大きなテーマになっていますが、ミランダさんの父親が同じカリブの国であるプエルトリコからの移民であることから、ハミルトンに父をオーバーラップさせてこの作品を作り上げたようです。



そんなこともあり、キャストには白人だけでなく黒人や少数派の人種の人たちも混ざって演技をしています。


ミュージカルドラマ『SMASH』にゲスト出演もしているミランダさんは、『ハミルトン』でさらに評価を得た映画『メリーポピンズ』の続編に出演することも決まっています。これからますますの活躍が見られそうです。


ユタ州議会で『ハミルトン』をたたえる決議案


ユタ州の議会で『ハミルトン』をたたえる決議案が提出され、その最終演説にはいつもは真っ向から対立する民主党と共和党の議員がそれぞれハミルトンとジョージ3世に扮して弁論を行う一幕がありました。









民主党のタバキス議員はそのスピーチもラップ調で行い、ミランダさんの功績をたたえるとともに学校の先生にも『ハミルトン』のサウンドトラックを使った授業をしたらどうかと勧めたのでした。




もちろん実際にブロードウェイで見られるのがいちばんですが、なかなかそうもいかない場合にはサウンドトラックで『ハミルトン』の世界を味わうことができます。iTunesやAmazon、Google PlayでデジタルミュージックやCDで販売しています。




5月3日にトニー賞の最終候補が発表され、6月12日が記念すべき第70回のトニー賞が開催されます。『ハミルトン』は前評判通りに賞を獲得することができるのでしょうか。



今回のトニー賞で有力視されているのは他に『Allegiance』、『Amazing Grace』、『On Your Feet!』そして『School of Rock - The Musical』などがあります。












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