おそらく初めてとなるロシア軍のイラン基地の使用
ロシア政府は8月16日にイスラム過激派組織ISなどを標的とした空爆を行うために、イランの空軍基地を拠点にした爆撃機を出動させたことを発表しました。
シリアのアサド政権を支援するためにISの勢力範囲に攻撃を加える戦闘機がイランの基地から出発するのは初めてのことだと考えられています。
イランのハマダーン基地からシリアに飛び立ったのは長距離爆撃機のTu(ツポレフ)-22M3と戦闘爆撃機のSu(スホーイ)34で、アレッポやイドリブ、デリゾールなどの地域に展開しているISとかつてのアルヌスラ戦線の支配地域に空爆を行います。アルヌスラ戦線は現在改名⇒アルカイダから離れ改名もしたアルヌスラ戦線の狙い)
#Russia ‘Backfire’ long-range bombers strike ISIS from #Iran’s Hamadan airfieldhttps://t.co/OXdIZWaIsq #NATO #Svpol pic.twitter.com/NcorPgTXap— Prof Ferrada de Noli (@ProfessorsBlogg) 2016年8月16日
両戦闘機はこれまでシリアのラタキアにあるロシア所有のフメイミム空軍基地に所属していましたが、このところロシアが距離を縮めているイランにその場所を移したことになります。
シリアまで60%の時間短縮
途中でイラク上空を通過することになりますが、シリアまでの飛行時間はこれまでよりもおよそ6割削減されます。
ロシアはシリアでの軍事活動の拠点としてイランおよびイラクを重視するようになっており、両国に対してカスピ海近海での巡航ミサイルの発射許可を求めているということです。
イランはシリアのアサド政権を支援する立場を取っていて、アサド政権を支えるために多額の支援を行い、また国内の革命防衛軍の司令官をシリアに派遣して政府軍の戦略にアドバイスを行っています。(⇒アサド政権支援側の過激派組織「ヒズボラ」の指導者が殺害)
他国との共同戦線を敷くこと自体がまれなイランは、国内の基地を自国以外の軍が使用した例はもう数十年以上前になります。
今年の1月にテロに対する軍事訓練などを行う協定を結び、5月にはイランの核開発疑惑によって凍結されていたS-300防空ミサイルシステムの配備をロシアが完了させています。経済制裁が解かれたイランは大々的な原油の輸出を行うなど、対外関係を積極的に進めています。(⇒原油価格上昇に歯止めをかけるイランの立場)
両国の協力関係を深まっていくことになりそうです。
参照:アレッポでの戦闘が激化。病院の被害などで子供の犠牲者が100人ちかくに(10月)
参照
http://www.reuters.com/article/us-mideast-crisis-russia-iran-idUSKCN10R0PA
https://www.theguardian.com/world/2016/aug/16/russia-uses-iranian-airbase-for-first-time-in-syria-campaign
https://www.washingtonpost.com/world/russia-uses-iranian-air-base-to-bomb-syria/2016/08/16/6b2a30e2-6393-11e6-96c0-37533479f3f5_story.html