はくちょう座とこと座の境界に4700の惑星候補がある
NASAはケプラー宇宙望遠鏡から送信されたデータを解析したところ、太陽系の外にある1284の星が99%の確率で惑星であるという事実をつきとめました。これによってその中には地球のように氷や水蒸気としてではなく、液体の水が星の表面を覆っている惑星が発見される可能性が高まり、いつか地球以外で生命が生息できる環境の星がとうとう確認される日がくるのかもしれません。
7年前に宇宙に旅立ったケプラー宇宙望遠鏡が今いるのははくちょう座とこと座の境界。観測を始めて4年になり、見つめてきた星の数は15万を超え、惑星の可能性がある星はすでに4700近く発見されていて、まだその数は増え続けています。
その中で、今回1284の星はほぼ間違いなく惑星であることが確定し、ケプラー宇宙望遠鏡はこれまで発見してきた惑星の総数が2000以上に達しました。
天文学者はどのように惑星かどうかを判別しているのか
ではどのようにケプラー宇宙望遠鏡は惑星と恒星を判別しているのでしょうか。そのヒントは5月9日に起きた天体現象の中にあります。この日、100年で13回しか観測できないという、水星が太陽の前を通過する瞬間が観測されました。NASAの撮影した動画を見てみましょう。
On May 9, Mercury passed directly between Earth and the sun for the first time in nearly 10 years. Watch:https://t.co/gNoxWkCZW2— NASASunEarth (@NASASunEarth) 2016年5月10日
太陽と水星では圧倒的に恒星である太陽の方が大きいため、移動している水星の影が小さくてちょっとわかりづらいですが、ケプラー宇宙望遠鏡が惑星の特定に利用しているのがこのタイミングです。
惑星である場合は同一軌道上を公転するので、定点観測をしているケプラー宇宙望遠鏡からは別の星の前を通ったときに、恒星であるその星の光が前を通る惑星によって遮られたときに明るさが通常のときよりも落ちるので、特定することができるわけです。
とはいえ、太陽と水星のようにすぐ近くで観測できるわけではないのでその光量の変化もごくわずかで、しかも惑星の他にも宇宙空間を移動しているものはあるため、天文学者たちは膨大な量のデータを分析することで惑星かどうかを判別しています。
その識別に使われている統計法を考え出したのは、プリンストン大学の天文学者ティモシー・モートン教授です。惑星とは違うさまざまな別物が通った時の値をていねいに選り分け、可能性があるデータだけを見つけ出していきます。
10日に行われたNASAのテレビ会議において、モートン教授は惑星候補の星を「パン粉」に例えています。
「大きなパン粉ならいくつか床に落としたとしても、ひとつひとつ手で拾うことができます。しかし、小さなくずを袋ごとこぼしてしまったら、ほうきが必要になります。この統計法は私たちにとってのほうきなのです」
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