増産凍結にむけて主要産油国による会合は継続
17日の日曜日にカタールの首都ドーハで主要産油国会合が開かれましたが、かねてからの議題になっていた石油の増産凍結の合意にはいたりませんでした。下落した状況の原油価格はこれからも横ばいの状況が続きそうです。
1月に1バレル30ドルを下回る12年ぶりとなる原油価格を示したあと、このところは1バレル43ドル程度にまで回復していましたが、OPEC(石油輸出国機構にロシアなどの国を加えた18ヵ国による会合は数時間に及ぶ議論を経たものの不首尾に終わり、価格は下落傾向に向かい38ドル台になっています。
サウジアラビアとイランの冷えた関係
今回の会合で合意できなかった内容は、OPECおよび非OPECの産油国が1月時点の産油量に戻すというもので、その内容に世界一の産油国であるサウジアラビアが難色を示したためでした。この提案内容は2月に主要産油国4ヵ国で話し合われたもので、ロシア、ベネズエラ、カタールに加えてサウジアラビアもここでは前向きな姿勢で1月水準の産油量に固定する案を進めていました。
しかし、サウジアラビアの態度を一変させたのはイランの存在でした。1月に世界各国からの経済制裁が解かれたばかりのイランは自国の状況から増産凍結の流れには乗らず、備蓄してあった原油も含めて大々的に輸入を始めました。サウジアラビアはそんなイランの姿勢に反発し、イランが減産しないのであれば増産凍結はしないという方針を固めたのでした。
今回のドーハで開かれた主要産油国の会議にもイランは出席していません。会議が難航した理由にそうしたサウジアラビアとイランの平行した関係が大きく影響しました。
議長国であるカタールのエネルギー産業相のムハンマド・サーレフ・アル・サダ氏は合意には「さらなる時間が必要」だとしていますが、6月にあるOPECの会議の前に次回の会合が開かれるかはについては言及していません。
「もちろん各国の立場は尊重しますが……、なかなか私たちの展望が開けません。でも、イランは国王による決定なので仕方ないのでしょうが」
「イランも含めたOPECの参加国や非OPECの国々、の主たる産油国が増産凍結に加わったら、その効果はきっと大きなものになるでしょう」とアル・サダエネルギー産業相はコメントしています。
国際エネルギー機関(IEA)による石油需給についての展望
国際エネルギー機関(IEA)によると今年の石油の需要と供給はこれからおおむね調整されていくだろうという見通しをしています。石油はこの四半期で、世界で1日当たり9640万バレル生産されていて、需要は1日当たり9480万バレルになっています。現在は需要が下回っている状況ですが、これが年末には9590万バレルにまで上昇するであろうというのがIEAの見解です。
市場の締めつけが強くなるであろうことと、これ以上の供給上昇はないだろうという見込みから、需給のバランスが取れるようになるということです。
また、「サウジアラビアとロシアはすでに記録的な、あるいはそれに近い割合で供給しており、イランとは距離を取ってほとんど増加させていない―イランは1日あたり400万バレルの生産にまで増産するという宣言をし、容認されている―(4月17日の会合で)いかなる合意がなされようとも世界的な需給バランスに著しい影響を与えることはないだろう」とIEAはドーハの会合が開かれる前に文書で報告しています。
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